冬の車の立ち往生に備える|車内に積むもの、燃料の目安、一酸化炭素を防ぐ待ち方
車を離れるか、とどまるか
基本は車にとどまる
猛吹雪のときに車を離れて歩くのは、きわめて危険です。視界が真っ白になる「ホワイトアウト」の中では、ほんの数十メートル先の建物も見えなくなり、方向を失います。過去の暴風雪でも、車を離れて亡くなった例があります。車は風と雪から身を守る、最後の避難場所と考えましょう。
ただし、車が危険な場所にあるときは別です。次の場合には、周りの状況と指示を確かめたうえで、より安全な場所へ移ることを考えます。
- 車が火災を起こした、または燃料のにおいがする
- 雪崩や倒木の恐れがある場所で止まっている
- 道路管理者、警察、消防などから避難の指示があった
- 建物や避難場所が近く、視界が保たれ、歩いて安全に行けると判断できる
高速道路で車を離れるとき
高速道路の本線上は、基本的に歩行が危険です。ただ、車の列が完全に止まり、道路管理者の案内で避難する場合もあります。指示があるときは、それに従います。
車を置いて離れるときは、救助や除雪のじゃまにならないよう、次のことをします。
- 可能な範囲で車線の端へ寄せる
- エンジンを切る
- 鍵はつけたままにするか、指示に従う
- 連絡先のメモをダッシュボードに置く
- 貴重品、薬、防寒着を持つ
鍵の扱いは状況で変わります。放置された車を移動させるために鍵が必要になることがあるので、案内があればそれに従ってください。
救助が来るまでの心得
大規模な滞留では、救助や燃料の配布に時間がかかります。除雪や救援の車は、列の外から少しずつ進むしかありません。「電話したのに来ない」と焦らないよう、半日から一日以上待つ可能性も見込んでおきます。
待っている間に大事なのは、燃料、電池、体力を節約することです。ラジオやカーナビのテレビは情報源になりますが、電装品を長時間使うとバッテリーが上がることがあります。スマートフォンは、用がないときは機内モードや省電力モードにし、定時に情報を確認するようにします。
周りの車に声をかけることも、大きな力になります。隣の車の人が眠り込んでいないか、マフラーが雪に埋まっていないかに気づけるのは、近くにいる人だけです。自分の除雪のついでに、周りの車の様子も見ておきましょう。
子どもや高齢の方がいるとき
- 子どもは体が小さく、冷えやすい。おむつ、ミルク、着替えは多めに積む
- 高齢の方は寒さを感じにくいことがあるので、本人の感覚に任せず声をかける
- 持病の薬は取り出しやすい場所に置く
- 体調が変わったら、早めに救急に相談する
判断に迷うときは、救急安心センター事業の「#7119」が使える地域もあります。緊急と感じたら迷わず119番に電話してください。
季節の前にしておく準備
雪の前にチェーンを付ける練習
チェーンは、雪の中で初めて付けると、ほとんどの人が手間取ります。凍えた手で、暗いなか、路肩で説明書を読むのは難しいものです。雪が降る前に、乾いた駐車場で一度付けて、次のことを確かめておきましょう。
- 自分の車のタイヤサイズに合っているか
- 駆動輪がどちらか。チェーンは原則として駆動輪に付ける
- 説明書どおりに付けて、どのくらい時間がかかるか
- 手袋、ゴムのマット、懐中電灯が一緒に入っているか
非金属チェーンや布製の滑り止めなど、種類によって取り付け方が違います。布製のものがチェーン規制で使えるかどうかは、最新の情報を確かめてください。
車の点検
| 点検する項目 | 確認すること |
|---|---|
| タイヤ | 冬用タイヤのプラットフォームが出ていないか、古すぎないか |
| バッテリー | 古い場合は寒さで急に弱る。点検を受ける |
| ワイパー | 冬用のブレードか、凍結しにくい状態か |
| ウォッシャー液 | 寒冷地向けの凍りにくい液に替える |
| 冷却水 | 濃度が地域の気温に合っているか |
冬用タイヤの性能は、溝の深さだけでなく、ゴムの硬さでも落ちていきます。製造から年数が経ったものは、販売店で見てもらいましょう。
家族で話しておくこと
- 雪の予報のときは出かけない、という基準を共有する
- 車載品の場所を、運転する人全員が知っておく
- 高速道路で止まったときの連絡先を決める
- 仕事で車を使う人は、会社に「行かない判断」のルールを確認する
まとめ
冬の車の立ち往生への備えは、「行かない判断」「車に積むもの」「閉じ込められたときの過ごし方」の三つに分けて考えると整理できます。予報と規制を確かめて無理に出かけないこと、冬の間は燃料を半分より上に保つことが基本です。動けなくなったら、エンジンをかける前に必ずマフラーの周りを除雪し、窓を開けるだけでは防げないことを覚えておいてください。
最初の一歩は、今度の週末に車のトランクへスコップと毛布、携帯トイレを入れることです。そのときに自分の車のマフラーの位置を確かめ、チェーンを一度付けてみましょう。この二つが済めば、急な大雪でも落ち着いて動きやすくなります。
よくある質問
立ち往生したらエンジンは切るべきですか?
できるだけ切って、防寒着や毛布で寒さをしのぐのが基本です。暖房のためにかける場合は、マフラーの周りと車の下の雪を取り除き、そのあとも雪が積もっていないか繰り返し確かめます。雪が降り続いているときに、確認せずにかけたまま眠ることは避けてください。
窓を少し開ければ、エンジンをかけたままでも安全ですか?
安全とは言えません。JAFのテストでは、窓を5cmほど開けた場合でも、マフラーが雪に埋まったままだと時間とともに車内の一酸化炭素濃度が上がったと報告されています。換気より先に、マフラーの除雪が必要です。
ガソリンはどのくらい入れておけばよいですか?
法律で決まった量はありませんが、雪の予報が出ている時期は、半分を切る前に給油する習慣をつけると余裕ができます。長距離の移動では、雪の区間に入る前に満タンにしておくと安心です。
スタッドレスタイヤなら、チェーンは持たなくてもよいですか?
持っておくほうが安心です。チェーン規制の区間では、スタッドレスタイヤでもチェーンなどの滑り止めがないと通行できません。最新の規制区間は道路管理者の情報で確認してください。
電気自動車やハイブリッド車でも、同じ備えが必要ですか?
必要です。ハイブリッド車は、システムを起動したままだと電池の状態によって自動でエンジンがかかるため、エンジン車と同じようにマフラーの確認が欠かせません。電気自動車は排気ガスが出ない一方で、暖房で電池を消費するので、早めの充電と防寒着の用意が大切です。











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