中国語のピンインと声調の基本|四声の出し方と、日本人がつまずく発音のポイント
中国語を学び始めた人に向けて、ピンインのしくみと四つの声調の出し方、声調が変わる「変調」のルール、有気音と無気音、そり舌音、-nと-ngの区別など、日本語話者がつまずきやすい発音のポイントを整理しました。声調記号の付け方や毎日の練習のしかたも紹介します。

中国語の勉強を始めると、最初にぶつかるのが発音です。漢字の意味はなんとなく分かっても、読み方は日本語の音読みとは大きく違い、さらに一つひとつの音節に「声調」と呼ばれる高さの上げ下げが付いています。教科書の最初の数課が発音だけで終わるのも、そのためです。
中国語の発音は、ローマ字を使った「ピンイン」で書き表します。ピンインはアルファベットなので一見読みやすそうですが、英語やローマ字読みとは違う読み方をする文字が多く、ここでつまずく人も少なくありません。ここでは、ピンインのしくみと声調の出し方、日本語話者が間違えやすい音を順に整理し、毎日の練習のしかたまでを紹介します。
ピンインとは何か
ピンイン(拼音)は、中国語の発音をラテン文字(アルファベット)で書き表すための表記法です。中国では一九五〇年代に制定され、現在は学校教育や辞書、パソコンやスマートフォンの文字入力などで広く使われています。
漢字は文字から発音が分かりにくいため、中国の子どもたちも、まずピンインで発音を学び、それから漢字を覚えていきます。外国人の学習者にとっても、ピンインは発音の地図のような役割を持っています。
中国語の音節のしくみ
中国語の音節は、原則として次の三つの部分でできています。
- 声母:音節の最初の子音。b、p、m、f など。
- 韻母:声母のあとの母音部分。a、ou、ang など。
- 声調:音節全体の高さの変化。四つの声調と軽声がある。
たとえば「妈(お母さん)」は mā と書き、声母が m、韻母が a、声調が第一声です。声母がなく韻母だけの音節もあります。
日本語の仮名が「子音+母音」で一文字なのに対し、ピンインは子音と母音を分けて書くので、組み合わせのパターンを覚えると、初めて見る単語も読めるようになります。この考え方は、ハングルの読み方入門|子音と母音の組み立てと、パッチムの基本で紹介したハングルの組み立てとも少し似ています。
簡体字と繁体字
中国大陸では、画数を減らした「簡体字」が使われています。台湾や香港などでは、伝統的な字形の「繁体字」が中心です。また台湾では、発音の表記に注音符号(ボポモフォ)という独自の記号が使われることが多くあります。ピンインで学ぶ場合は、大陸の標準語(普通話)を中心とした教材が多いことを知っておくと、教材選びで迷いにくくなります。
四つの声調と軽声
中国語では、同じ音でも声の高さの変化が違うと、別の意味になります。この高さの変化が「声調」です。標準語には四つの声調と、軽く短く添える「軽声」があります。
よく例に出されるのが「ma」です。
| 声調 | ピンイン | 漢字の例 | 意味 | 音の動き |
|---|---|---|---|---|
| 第一声 | mā | 妈 | お母さん | 高く平らに伸ばす |
| 第二声 | má | 麻 | 麻 | 中くらいから一気に上げる |
| 第三声 | mǎ | 马 | 馬 | 低く抑える |
| 第四声 | mà | 骂 | ののしる | 高いところから一気に下げる |
| 軽声 | ma | 吗 | 疑問の語気 | 前の音に添えて軽く短く |
第一声:高く、平らに
自分の声の出しやすい範囲の、高めのところで平らに伸ばします。高さを保つことがいちばん大切で、語尾が下がると第四声に近く聞こえてしまいます。歯医者で「あー」と口を開けるときのように、一定の高さを意識します。
第二声:下から上へ
中くらいの高さから、高いところまで一気に上げます。日本語で「えっ?」と聞き返すときの上がり方に近いと説明されることがあります。上げ始めが高すぎると第一声に、上がりきらないと第三声に聞こえやすくなります。
第三声:低く抑える
教科書では「低く下げてから上げる」と説明されることが多い声調ですが、実際の会話では、低く抑えた部分が中心で、最後の上がりはほとんど聞こえないことがよくあります。単独で発音するときや文の最後では上がりまで発音し、文の中では「低く沈めたまま」と考えると、自然な発音に近づきます。
第四声:上から下へ
高いところから低いところまで、一気に下げます。日本語で何かに気づいて「あっ」と言うとき、あるいはカラスの「カー」のような強い下がり方です。短く鋭く下げると、それらしく聞こえます。
軽声
本来の声調を失い、軽く短く発音される音節です。助詞の「吗(ma)」「的(de)」や、「妈妈(māma)」の二文字目などがこれにあたります。軽声の高さは、前の音節の声調によって変わりますが、最初は「力を抜いて短く添える」と覚えておけば十分です。











