クリスマスマーケットの歴史と楽しみ方|ドイツ発祥の冬の市、グリューワインと木の飾り
19世紀に「家族のクリスマス」と結びつく
家庭の行事としてのクリスマス
今のような「家族で飾りを選び、贈り物を用意するクリスマス」がドイツ語圏の都市で広がったのは、主に19世紀だと考えられています。家の中にもみの木を立てて飾る習慣が市民の家庭に広まり、それに合わせて、木に下げる飾りや子どもへの贈り物の需要が増えました。
クリスマスマーケットは、こうした家庭の行事のための品をそろえる場として、性格を強めていきます。冬を越す食料や道具の市場から、飾り・おもちゃ・菓子を選ぶ市へと、少しずつ中身が移り変わっていきました。木の小屋が並び、明かりで飾られた今の姿は、この流れの先にあります。
一度途切れ、また広まる
戦争や社会の混乱の時期には、市が開かれなくなったり、規模が小さくなったりした町もありました。第二次世界大戦のあと、各地の町が市を再開し、地域の行事として整えていきます。やがて旅行者が冬に訪れる目的の一つとなり、ドイツ以外の国でも同じ形式の市が開かれるようになりました。
日本でも、ドイツの冬の市を手本にした催しが各地で見られるようになりました。屋台の形や飲み物、飾りの品ぞろえを本場に近づけた会場もあれば、地元の店が参加して独自の色を出す会場もあります。どの会場でも、日程や営業時間、器の扱いは毎年変わることがあるため、主催者の公式サイトで最新の情報を確かめてください。

屋台の定番の飲み物と食べ物
グリューワインと子ども向けのパンチ
市の主役ともいえるのが、「グリューワイン(Glühwein)」です。赤ワインに、シナモンやクローブ、オレンジの皮などを加えて温めた飲み物で、言葉には「熱を帯びて光るワイン」というような意味があります。白ワインを使うもの、果実のリキュールを加えるものなど、地域や店ごとに味の違いがあります。

お酒を飲まない人や子どものためには、「キンダープンシュ(Kinderpunsch)」と呼ばれる温かいパンチがよく用意されています。果物のジュースや紅茶をスパイスとともに温めたもので、香りはグリューワインに近く、アルコールは入っていません。寒い中で手を温めるだけでも、市を歩く助けになります。
グリューワインは温かく甘いため、飲んだ量を感じにくいことがあります。空腹で何杯も続けて飲まないようにし、車や自転車を運転する日は飲まないでください。
スパイスの菓子と、焼き物の軽食
菓子では、はちみつとスパイスを使った「レープクーヘン(Lebkuchen)」が代表的です。ニュルンベルクは昔から香辛料の取引で栄えた町で、レープクーヘンの名産地として知られています。ハートの形に焼いて砂糖のアイシングで言葉を書いた大きなものは、食べるより飾りとして買われることも多い品です。
ほかにも、ドライフルーツやナッツを練り込んだシュトレン、砂糖をからめて香ばしく煎ったアーモンド、焼き栗などがよく並びます。食事になるものでは、焼いたソーセージをパンにはさんだものや、じゃがいもを使った揚げ物、チーズを溶かした料理など、地域の名物が屋台に出ます。
| 種類 | 代表的なもの | 楽しみ方のヒント |
|---|---|---|
| 温かい飲み物 | グリューワイン、キンダープンシュ | 器の預かり金を確かめてから買う |
| スパイスの菓子 | レープクーヘン、シュトレン | 日持ちするものはおみやげに向く |
| 甘い軽食 | 砂糖がけのアーモンド、焼き栗 | 歩きながら少しずつ食べやすい |
| 食事になるもの | ソーセージのパンはさみ、じゃがいもの揚げ物 | 混む前の早い時間に買う |
マグカップの「預かり金」の仕組み
多くの市では、温かい飲み物を陶器のマグカップで出し、代金に器の預かり金を上乗せする仕組みをとっています。飲み終えて屋台に返すと預かり金が戻り、気に入った器は返さずにそのまま持ち帰れます。マグカップには、その市の名前やその年の絵柄が描かれていることが多く、記念として集める人もいます。
返すときは、同じ屋台か、同じ種類の器を受け付ける屋台に戻すのが基本です。市によっては、どの屋台でも返せる共通の器を使っていることもあります。預かり金の額や返し方は市ごとに違うので、最初の一杯を買うときに確かめておくと迷いません。国内の会場でも、記念の器を販売したり、預かり金方式をとったりと扱いはさまざまです。










