クリスマスマーケットの歴史と楽しみ方|ドイツ発祥の冬の市、グリューワインと木の飾り
エルツ山地の木の飾りに込められた歴史
鉱山の町から木工の町へ
クリスマスマーケットで目を引くのが、木で作られた素朴な飾りです。その多くは、ドイツ東部、チェコとの国境に近い「エルツ山地」の木工品の伝統と結びついています。エルツ山地は名前のとおり鉱石の採れる山地で、かつては銀などの鉱山で栄えました。
鉱山の仕事が衰えると、人々は山の木を使った木工品を作るようになり、それが暮らしを支える仕事の一つになっていきました。冬の長い山の暮らしの中で、家族で作った木の人形やおもちゃは、やがて地域を代表するクリスマスの飾りとして知られるようになります。飾りの多くに鉱夫の姿や明かりのモチーフが見られるのは、こうした歴史の名残です。
代表的な木の飾りと意味
「くるみ割り人形」は、兵士や王様などの姿をした人形で、口を開けてくるみをはさみ、レバーで割る仕組みになっています。今では飾りとして並べるものがほとんどですが、もともとは実際に使う道具でした。きびしい表情の人形が硬いくるみを割る姿に、家を守る役目を重ねる見方もあります。
「煙出し人形(レーヒャーマン)」は、人形の胴が中空になっていて、中で小さなお香をたくと、口から煙が出るように見える飾りです。パイプをくわえた木こりや行商人など、さまざまな職業の姿があります。お香を使うものなので、燃えやすい物から離し、火の扱いに十分注意してください。
「シュヴィップボーゲン」は、半円のアーチの形をした燭台で、窓辺に飾られます。暗い季節に、坑道から戻る鉱夫の帰りを待つ明かりを表すと説明されることがあります。「クリスマスピラミッド」は、何段にも重ねた木の台に人形を並べ、上の羽根車を回す飾りです。昔ながらのものはろうそくの熱で起こる上向きの空気の流れで羽根が回り、段がゆっくり回転します。

ガラスの飾りや、わらの星
木の飾り以外にも、ガラスを吹いて作る丸い飾りや、わらを編んだ星、蜜ろうで作った小さな飾りなどがよく並びます。ガラスの球の飾りは、ドイツ中部のガラス工芸の町で作られるようになったものが広まったと伝えられています。わらの星は、収穫や素朴な暮らしを思わせる飾りとして、北欧やドイツの家庭で親しまれてきました。
こうした飾りは、作り手の工房が屋台を出していることもあれば、商人がまとめて仕入れて売っていることもあります。手作りの一点ものを探すなら、作業の様子を見せている屋台や、作り手の名前を掲げている屋台に注目すると見つけやすくなります。
市を楽しむための歩き方と見どころ
時間帯で雰囲気が変わる
クリスマスマーケットは、時間帯によって雰囲気が大きく変わります。開いてすぐの昼間は人が少なく、屋台の品をじっくり見たり、店の人と話したりしやすい時間です。日が暮れて明かりがともると、写真で見るような景色になりますが、人も一気に増えます。
飾りを選びたいなら昼から夕方、明かりの景色と温かい飲み物を楽しみたいなら日没後、というように目的で時間を分けると、どちらも満足しやすくなります。週末の夜はとくに混み合うため、ゆっくり歩きたい人は平日の早い時間を選ぶのも一つの方法です。
見て回る順番の考え方
初めての市では、最初に会場を一周して全体を見てから買い物を始めると、同じような品で迷う時間を減らせます。気になった屋台は場所を覚えておき、二周目に決めるようにすると、持ち歩く荷物も少なくてすみます。

合唱や開幕の行事
多くの市では、会場の一角に小さな舞台があり、合唱団や吹奏楽、子どもたちの歌などが披露されます。開幕の日には、町の代表や「クリストキント」役の人のあいさつ、点灯式などの行事がある市もあります。予定は市の公式サイトや会場の掲示で案内されるので、行く日に合わせて確かめておくと、思いがけない演奏に出会えます。
教会の前で開かれる市では、近くの教会でクリスマスの音楽会が行われることもあります。教会の中に入るときは、礼拝や行事の妨げにならないよう、声の大きさや写真の撮り方に気を配りましょう。










