フェルミ推定のやり方|式への分解と数字の置き方、桁で考える誤差の扱いと仕事での使いどころ
手順2:式に分解する型
分解は、フェルミ推定でいちばん頭を使う部分です。ただ、よく使われる型はいくつかに絞られます。型を知っておくと、初めての問いでもどの方向から攻めるかを決めやすくなります。

| 分解の型 | 式の形 | 向いている問い |
|---|---|---|
| 人口から考える | 人口 × 該当する割合 × 頻度 | 年間の消費量、利用者数 |
| 世帯から考える | 世帯数 × 保有率 × 頻度 | 家庭で使う物、家電の台数 |
| 面積から考える | 面積 × 密度 | 地域の店舗数、木の本数 |
| 供給側から考える | 店舗数 × 一店舗あたりの量 | 売上、来客数 |
| 時間から考える | 時間 × 一単位あたりの処理量 | 作業量、処理できる件数 |
需要側と供給側
分解には、大きく分けて「需要側(使う人の側)」から考える方法と、「供給側(提供する側)」から考える方法があります。
たとえば「ある駅前のコンビニの一日の来客数」を考えるとき、需要側からなら「駅の利用者のうち、そのコンビニに立ち寄る人の割合」を考えます。供給側からなら「レジの台数 × 一時間あたりに一台が対応できる人数 × 営業時間 × 混み具合」を考えます。

どちらか一方で十分なこともありますが、両方で計算できると心強い確かめになります。需要側と供給側の答えが同じ桁に収まれば、見積もりの信頼度が上がります。大きく違えば、どちらかの仮定に無理があるので、見直す手がかりになります。
分解の細かさを決める
式は、細かく分けるほど正確になるわけではありません。要素が増えるほど、一つひとつに数字を置く手間が増え、仮定の誤りが入り込む機会も増えます。目安として、要素は三つから五つ程度にとどめ、答えを大きく左右する要素だけをさらに分けるとよいでしょう。
たとえば、「ピアノのある世帯の割合」が答えに大きく効きそうなら、そこだけ「子どものいる世帯」と「それ以外」に分けて考えます。逆に、影響の小さい要素は、ざっくりした一つの数字で済ませます。
手順3:数字を置く
式ができたら、要素ごとに数字を置きます。このとき大切なのは、数字に根拠を添えることです。根拠といっても、厳密な統計である必要はありません。「自分の周りの友人十人のうち一人くらい」「通勤で見かける店はこのくらいの間隔」といった、身近な観察で十分です。
基準になる数字を持っておく
いくつかの基準になる数字を覚えておくと、多くの問いの出発点になります。次の表は、おおまかな目安です。統計の値は年によって変わるので、正確な値が必要なときは、公的な統計で最新の値を確かめてください。
| 項目 | おおまかな目安 |
|---|---|
| 日本の人口 | およそ1億2千万人 |
| 日本の世帯数 | およそ5千万〜5千5百万世帯 |
| 1年の日数・時間 | 365日、約8,760時間 |
| 1年の平日 | およそ250日 |
| 1日の秒数 | 86,400秒(約9万秒) |
| 一つの年齢あたりの人数 | 人口を平均寿命くらいの年数で割った数が最初の目安 |
最後の行は、年齢ごとの人数を見積もるときに使える考え方です。人口を平均寿命くらいの年数で割ると、一つの年齢あたりのおおよその人数が出ます。実際の人口は年齢によって偏りがありますが、最初の当たりとしては十分に使えます。
分からない数は上下限から挟む
まったく見当がつかない数字は、「これより多いことはない」上限と、「これより少ないことはない」下限を考えます。たとえば、ある人が一年に美容室へ行く回数が分からなくても、「毎週は行かない(年52回より少ない)」「一度も行かない人は少数派(年1回より多い)」と考えれば、1回から52回の間だと分かります。
上下限が離れているときは、単純な平均ではなく、桁の真ん中を取るのがこつです。1と100の間なら、平均の50ではなく10を取ります。これは、二つの数を掛けて平方根を取る「幾何平均」という考え方で、掛け算でつなぐ見積もりと相性がよい方法です。暗算するなら、「桁数の真ん中」を取ると覚えておけば足ります。

単位をそろえる
数字を置くときは、単位を一緒に書いておきます。「1日あたり」と「1年あたり」、「一人あたり」と「一世帯あたり」が混ざると、計算は合っていても答えが何十倍、何百倍もずれます。










