ロジックツリーの作り方|What・Why・Howの使い分けとMECEに分けるコツ
ロジックツリーを紙一枚とペンで作る方法を、家計の支出、遅刻、長い会議の例で紹介します。What・Why・Howの違い、MECEの意味と分け方の切り口、問いの立て方、階層と粒度のそろえ方を整理。原因の仮説を確かめる手順から、効果と手間による優先順位、手書き・付箋・アウトラインの使い分けまで説明します。

「支出を減らしたい」「朝の遅刻をなくしたい」「会議を短くしたい」。困りごとを一言で表せても、何から考えるかはすぐには決まりません。思いついた案を並べるだけでは、見ていない部分が残ったり、同じ話を別の言葉で繰り返したりします。
ロジックツリーは、一つの問いを枝分かれさせ、大きな話を具体的な項目へ分ける方法です。紙一枚とペンがあれば始められます。ここでは家計、遅刻、会議を題材に、What・Why・Howの使い分けから、分類の見直し、取り組む順番の決め方までを説明します。
ロジックツリーの役割と三つの種類
全体と細部を同じ紙で見る
紙の左端に中心となる問いを書き、右へ線を伸ばして答えのまとまりを置きます。まとまりをさらに分けると、問い、分類、具体項目という階層ができます。上から下へ広げる形でもかまいません。線の向きより、どの項目が何を分けたものか分かることが大切です。
頭の中だけで考えると、気になる一件に注意が寄りやすくなります。枝として並べれば、詳しく調べた部分と空白の部分を見比べられます。人と相談するときも、「ここは調査済み」「こちらはまだ不明」と指し示せるため、話の範囲を合わせやすくなります。
ただし、枝を描いただけでは正しい答えになりません。図の形が整っていても、分類が偏っていたり、原因が思い込みだったりする場合があります。品質管理の分野でも、似た図は「系統図」や「ツリー図」と呼ばれ、大きな目的を具体的な手段へ分けるときに、目的に合う問いを使って一段ずつ枝を作る方法として使われてきました。
「何でできているか」「なぜか」「どうするか」を分ける
Whatツリーは、対象の内訳を知るために使います。家計の支出を費目に分ける、仕事を工程に分けるなど、「何が含まれるか」を整理します。支出の大きな費目が分かっても、それだけで浪費の原因が分かったことにはなりません。
Whyツリーは、起きていることの原因候補を広げるために使います。「遅刻が多いのはなぜか」から、出発が遅い、移動に時間がかかるといった枝を作ります。Howツリーは、目標を実現する方法を考えるためのものです。「会議を短くするには」から、扱う議題や進め方を見直します。

使う種類は、いま足りない情報で選べます。何に支出しているか不明ならWhat、内訳は分かるのに増えた理由が不明ならWhy、取り組む費目と理由が分かっているならHowです。三種類を必ず順番に作る決まりはありませんが、一枚の途中で問いを切り替えると関係を読み取りにくくなります。
Whatツリーで家計の支出を分ける
分ける前に対象の範囲を決める
「お金」を分けるだけでは、収入、支出、預金残高などが混ざります。まずは「先月、生活のために使ったお金の内訳」と書きます。家族共通の支出だけを扱うのか、個人の買い物も含めるのかを決めると、一件ずつ分類しやすくなります。
次に、支出を用途で分けます。住まい、食事、移動、通信、日用品、娯楽などが候補です。これは家庭用の整理例であり、どの家庭でも同じ費目が適切とは限りません。今回の問いに答えられる分類を選び、迷った支払いの扱いを短く書き添えます。
先月の生活支出には何があるか
├─ 住まい
│ ├─ 家賃
│ └─ 住まいに関する管理費
├─ 食事
│ ├─ 自炊用の食材
│ ├─ 持ち帰りの調理済み食品
│ └─ 店内での飲食
├─ 移動
├─ 通信
├─ 日用品
└─ 娯楽・そのほかの用途
ここでは食事だけを細かくしています。すべての枝を同じ深さにする必要はありません。食費の内訳を知りたいなら食事の枝を広げ、通信費に関心がなければ大きなまとまりのまま残せます。ただし、最初に全体の費目を並べてから深めると、食事以外を見落としにくくなります。
一つの支払いをどこへ入れるか決める
同じ階層に「食費」「外食費」「カード払い」を置くと、外食が食費と重なり、カード払いは用途の分類に入りません。支払方法で調べたい場合は、用途のツリーとは別に「現金・カード・そのほか」の分類を作ります。一つの段では一つの基準を使うと整理しやすくなります。
スーパーで食材と洗剤を一緒に買った場合は、内容ごとに分けるか、今回の目的に足りる簡略な記録にするかを決めます。細かさを途中で変えると比較が難しくなるため、同じ期間ではルールをそろえます。購入と口座引き落としを重ねて数えない記録方法は、家計簿を続けるコツ|記録のルールからキャッシュレス管理、月末の見直しまででも扱っています。
金額を入れたら、子の合計が親の金額と一致するかを確かめます。一致しなければ、未分類、集計期間の違い、二重計上などを調べます。大きい費目を見つけた後は、その全額を減らせると考えず、必要な支出と見直せる部分を区別してください。
Whyツリーで遅刻の原因候補を調べる
人の性格ではなく起きたことから分ける
「遅刻が多い」だけでは、寝坊した日と交通が乱れた日が混ざります。「最近の出勤で、始業までに準備を終えられなかった日」のように、対象と遅刻の扱いを決めます。そのうえで、予定した出発時刻、実際の出発時刻、到着時刻など、分かる記録を集めます。
最初の枝は、「予定より出発が遅い」「出発後の所要時間が見積もりを超える」「到着後の準備時間を見込んでいない」などです。同じ日に複数が重なることもあるため、原因候補を並べる段階では、遅刻の件数をそのまま足し合わせる分類として扱いません。
始業までに準備が終わらないのはなぜか(原因候補)
├─ 予定より出発が遅い
│ ├─ 起床が予定より遅い
│ └─ 出発前の支度が見積もりより長い
├─ 移動が見積もりより長い
│ ├─ 乗り換えの待ち時間を含めていない
│ └─ 当日の運行の乱れがある
└─ 到着後の準備時間を見込んでいない
「やる気がない」「時間にだらしない」と書くと、行動や状況を確かめる手がかりがなくなります。「鍵を探して出発が遅れた」「着替えの準備に時間がかかった」のように、観察できる出来事へ戻します。本人以外の事情も関わるので、ツリーを責任追及の道具にしないようにします。
原因候補に確かめ方を添える
枝の横には「確認済み」「仮説」「未確認」と記します。例えば「支度が長い」は、起床から出発までを記録すると調べられます。「運行の乱れ」は当日の情報と照合します。記録がない日は空欄にして、印象だけで同じ原因へ割り当てないようにします。

間に合った日にも同じ条件があるなら、それだけでは説明が足りない可能性があります。雨の日だけ支度も移動も長いなど、条件の組み合わせが関わる場合もあります。線を引いたことを因果関係の証明にせず、複数日の記録や本人への確認で仮説を見直します。
Whyは「なぜ」を決まった回数だけ重ねる作業ではありません。「起床が遅い」の先を想像で掘り続けるより、記録が必要になったところで止める方が役立ちます。体調や勤務条件など個別の事情がある場合は、本人の説明を尊重し、ツリーだけで判断しません。










