虹と暈(かさ)のしくみ|虹が出る方角と高さ、幻日・環天頂アークの見つけ方
暈(かさ)と幻日|氷の粒がつくる光
ここからは、氷の粒がつくる現象です。虹が太陽を背にして見るものだったのに対し、こちらは太陽と同じ側の空に現れます。観察するときは、太陽を直接見ないように、建物や手で太陽を隠すのが基本です。

22度の暈
太陽や月のまわりに、大きな光の輪が見えることがあります。これが暈(かさ)で、多くは太陽や月から22度ほど離れた位置に現れるため、22度ハロとも呼ばれます。腕を伸ばして手のひらを大きく広げたとき、親指の先から小指の先までがおよそ20度なので、太陽を親指で隠したときに小指の先あたりに輪がくる、というのが大きさの目安です。
暈は、上空の薄い雲に含まれる六角柱の氷晶が、プリズムのように光を曲げることでできます。氷晶の向きがばらばらでも、光が最も集まりやすい角度が22度付近になるため、きれいな輪になります。内側がやや赤みを帯び、外側は白っぽく見えるのが特徴です。輪の内側の空が、外側より少し暗く見えることもあります。
暈をつくるのは、空を薄いベールのように覆う巻層雲が中心です。雲の種類については雲の種類の見分け方でも紹介していますが、巻層雲は低気圧や前線が近づくときに現れやすいため、「暈がかかると雨」ということわざが生まれました。天気が下り坂になる手がかりにはなりますが、外れることもあります。
幻日
太陽と同じ高さで、太陽の左右22度ほどの位置に、明るい光のかたまりが見えることがあります。これが幻日(げんじつ)です。暈と重なるように現れることが多く、太陽側が赤く、外側に向かって白く尾を引くように見えます。
幻日をつくるのは、板状の六角形の氷晶です。板状の氷晶は、空気の抵抗を受けて水平に近い向きで落ちていくため、光が特定の方向にだけ集まり、輪ではなく点のように明るく見えます。片側だけに出ることもあれば、両側に出ることもあります。太陽が低い朝や夕方に見つけやすい現象です。
月でも同じしくみで幻月(げんげつ)が見られることがあります。月の光は弱いので、満月前後の明るい夜が狙い目です。
| 現象 | 現れる位置 | 氷晶の形 | 見え方の特徴 |
|---|---|---|---|
| 22度の暈 | 太陽を中心とする円 | 六角柱(向きはばらばら) | 内側がやや赤い大きな輪 |
| 幻日 | 太陽の左右、同じ高さ | 六角形の板(水平に近い) | 太陽側が赤い光の点 |
| 環天頂アーク | 頭上、太陽側の高い空 | 六角形の板 | 上に向かって凸の虹色の弧 |
| 環水平アーク | 太陽の下、地平線に近い空 | 六角形の板 | 水平に伸びる虹色の帯 |
環天頂アークと環水平アーク
氷晶がつくる現象の中で、色の鮮やかさで特に目を引くのが、環天頂アークと環水平アークです。どちらも虹のように色が並びますが、虹とは位置も形も、できる条件も違います。
環天頂アーク
頭の真上に近い空に、上に向かってふくらんだ虹色の弧が現れることがあります。これが環天頂アークです。「逆さ虹」と呼ばれることもありますが、雨粒ではなく板状の氷晶がつくる現象です。太陽側の空に現れ、太陽に近い側(下側)が赤く、外側が紫になります。
環天頂アークは、太陽が低いとき、およそ32度より低いときに現れます。そのため、朝や夕方、あるいは冬の昼間などに見られます。幻日が出ているときは、同じ板状の氷晶が空に浮かんでいる証拠なので、頭上を見上げてみると環天頂アークが見つかることがあります。
環水平アーク
太陽のずっと下、地平線に近い空に、水平に伸びる虹色の帯が現れることがあります。これが環水平アークです。上側が赤く、下側が紫になります。薄い雲の一部だけが虹色に染まって見えることも多く、彩雲と見分けにくい場合があります。
環水平アークは、環天頂アークとは反対に、太陽が高いとき、およそ58度より高いときにしか現れません。日本では、太陽が高く昇る春の終わりから夏にかけての、昼前後に見られる現象です。太陽が十分に高くならない冬には、日本の多くの地域では見られません。

二つのアークは、太陽の高さの条件がまったく重ならないため、同じ時刻に両方を見ることはできません。季節と時刻から「今はどちらが出る可能性があるか」を考えてから空を見上げると、探す場所を絞り込めます。
氷晶の現象には、ほかにも太陽を通る水平の白い輪(幻日環)、太陽の上下に伸びる光の柱(太陽柱)など、多くの種類があります。最初は暈と幻日、二つのアークを確実に見分けられるようにし、慣れてきたら珍しい現象を探していくと、観察が長く楽しめます。










