虹と暈(かさ)のしくみ|虹が出る方角と高さ、幻日・環天頂アークの見つけ方
光冠・彩雲・光輪|細かな水滴がつくる色
ここまでの現象は、光が曲がったり反射したりすることで生まれていました。一方で、光には波の性質があり、とても細かな粒の縁を回り込むように進むことがあります。これを回折(かいせつ)と呼びます。細かな水滴による回折がつくるのが、次の三つの現象です。
光冠
薄い雲がかかった月のまわりに、月にぴったり寄り添うような小さな色の輪が見えることがあります。これが光冠(こうかん)です。22度の暈よりずっと小さく、月から数度ほどの範囲に収まります。内側は青白く、外側にいくにつれて赤みを帯びます。雲の水滴の大きさがそろっているほど、輪が何重にもはっきり見えます。
太陽のまわりにも光冠はできますが、まぶしくて見にくいため、観察には月が向いています。暈と光冠の違いは、まず大きさで見分けるとわかりやすく、月から手のひらを広げたほど離れていれば暈、すぐそばにあれば光冠です。
彩雲
太陽の近くの薄い雲の縁が、ピンクや緑、水色などにまだらに色づいて見えることがあります。これが彩雲(さいうん)です。光冠と同じく、細かな水滴や氷の粒による回折で生まれます。雲の粒の大きさが場所によって違うため、色が帯状ではなく、模様のように混ざり合って見えるのが特徴です。
彩雲は太陽のすぐ近くで見えることが多いので、観察するときは必ず建物などで太陽を隠してください。サングラスをかけても、太陽を直接見てよいことにはなりません。
光輪(ブロッケン現象)
山の上で太陽を背にして霧や雲を見下ろしたとき、自分の影のまわりに色の輪が現れることがあります。これが光輪(こうりん)で、山の名前にちなんでブロッケン現象とも呼ばれます。霧の細かな水滴が、光をほぼ来た方向へ返すことで生まれ、影の頭を中心に輪ができます。飛行機の窓から、雲に映った機体の影のまわりに見えることもあります。
日本では古くから、この現象を「御来迎(ごらいごう)」と呼び、仏の姿になぞらえてきました。輪の中心は、見ている本人の影の頭なので、隣の人と並んでいても、自分の影のまわりにしか輪は見えません。

太陽を直接見ることは、短い時間でも目を傷めるおそれがあります。暈や幻日、彩雲など太陽の近くに現れる現象は、太陽をしっかり隠してから観察してください。目に違和感があるときは、早めに眼科で相談しましょう。
青空と夕焼けの色
空の色そのものも、光と空気がつくる現象です。最後に、毎日目にしている青空と夕焼けのしくみを見ておきます。
太陽の光が空気の中を進むと、空気の分子にぶつかって四方八方に散らばります。これを散乱と呼びます。空気の分子のようにとても小さな粒は、波長の短い青い光を、波長の長い赤い光よりずっと強く散らす性質があります。昼間は、空のあらゆる方向から散らばった青い光が目に届くため、空全体が青く見えます。
夕方になると、太陽の光は地平線近くから差し込み、昼よりもずっと長い距離の空気を通って目に届きます。その途中で青い光はほとんど散らされてしまい、残った赤やオレンジの光が届くため、太陽のまわりや雲が赤く染まります。空気中にちりや水蒸気が多いと、色の出方が変わり、より赤く濃く見えたり、逆にくすんで見えたりします。
雲が白く見えるのは、雲をつくる水滴が空気の分子よりずっと大きく、すべての色の光を同じように散らすためです。すべての色が混ざると白く見えます。雲が厚くなると光が通りにくくなり、灰色に見えるようになります。
| 空の様子 | 主なしくみ | 色の理由 |
|---|---|---|
| 昼の青空 | 空気の分子による散乱 | 青い光が強く散らされる |
| 夕焼け | 長い距離を通る光 | 青が失われ赤が残る |
| 白い雲 | 大きな水滴による散乱 | すべての色が同じように散る |
| 灰色の雲 | 厚い雲で光がさえぎられる | 届く光そのものが少ない |
日が沈んだあと、東の空の低いところが青灰色に暗くなり、その上がほんのりピンク色に染まる時間があります。暗い部分は地球自身の影が空に映ったもので、その上のピンクの帯は、沈んだ太陽の光がまだ届いている大気です。夕焼けを見たあとに振り返ると、こうした静かな色の変化にも気づけます。
観察を楽しむ記録のつけ方
空の光の現象は、出会えるかどうかが天気しだいです。見つけたときに記録を残しておくと、どんな条件で出やすいのかが少しずつわかってきます。
記録しておきたいのは、日付と時刻、見えた方角、太陽のおよその高さ、空にあった雲の様子、見えていた時間の長さです。写真を撮るなら、現象だけでなく、地上の建物や山を少し入れておくと、あとで大きさや方角を思い出しやすくなります。
- 見つけたら、まず太陽の位置を確かめ、必要なら建物で隠します。
- 現象の位置を、太陽からこぶしいくつ分か、で大まかに測ります。
- 色の並びがどちら向きか(外側が赤か、内側が赤か)を確認します。
- 写真を撮り、日時と方角をメモします。
- 見えなくなるまで、形や明るさの変化を見届けます。
色の並びの向きは、現象を見分ける大きな手がかりです。外側が赤い弧なら主虹、内側が赤い弧なら副虹か、氷晶による暈の仲間、というように、記録を見返すときに役立ちます。月の光による現象を観察したいときは、月の満ち欠けの周期を知っておくと計画が立てやすく、月の満ち欠けのしくみが参考になります。
まとめ
虹は太陽を背にした側の空に、対日点を中心とした半径およそ42度の円として現れます。太陽が低い朝や夕方、にわか雨の通り過ぎた直後が見つけやすい場面です。暈や幻日、環天頂アークは、上空の氷の粒が太陽の光を曲げてできる現象で、太陽と同じ側の空に現れます。
まずは次に晴れた日の朝か夕方、空を見上げたときに、太陽のまわりに輪や光の点がないか、太陽を手で隠しながら確かめてみてください。にわか雨のあとに日が差したら、自分の影の頭の方向を探してみましょう。一度見つけ方がわかると、空の光の現象は思っていたよりもずっと身近にあることに気づくはずです。
よくある質問
虹はどうして朝や夕方に見えやすいのですか?
虹は太陽と反対側の空に、太陽の高さに応じた位置で現れます。太陽が高い昼間は虹の円が地平線の下に沈んでしまうため、太陽が低い朝や夕方のほうが、地上から大きな弧として見えやすくなります。
副虹の色の順番が主虹と逆なのはなぜですか?
主虹は水滴の中で光が1回反射してできますが、副虹は2回反射してできます。反射の回数が1回増えることで光の出ていく向きが入れ替わり、色の並びが逆になります。反射が多いぶん光が弱まるので、副虹は主虹より淡く見えます。
太陽のまわりの暈は、雨の前ぶれといわれるのは本当ですか?
暈をつくる巻層雲は、低気圧や前線が近づくときに現れやすい雲なので、天気が下り坂になる手がかりにはなります。ただし必ず雨になるわけではないため、実際の行動は天気予報と合わせて判断するのが安心です。
太陽の近くの現象を観察するとき、気をつけることはありますか?
太陽を直接見たり、双眼鏡やカメラのファインダー越しにのぞいたりすると、目を傷めるおそれがあります。建物や電柱、手のひらなどで太陽を隠し、画面で確認しながら観察や撮影をしてください。
虹の写真をきれいに撮るコツはありますか?
虹は太陽を背にした方向に出るので、自分の影の頭の方向を中心に空を探します。広角で全体を収めるか、建物や山と組み合わせると大きさが伝わります。偏光フィルターは向きによって虹を強めたり消したりするので、回しながら確かめるとよいでしょう。










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