雪の結晶の観察入門|ルーペとスマホで見る形の種類と、気温で形が変わるしくみ
代表的な結晶の形と見分け方
雪の結晶の分類にはいくつもの方式があり、細かく分けると百種類以上になる分類もあります。観察を始めたばかりのうちは、次のような大きなまとまりで見分けられれば十分です。
板の仲間(角板・扇形・樹枝状)
角板は、六角形の平たい板の形です。小さいものが多く、ルーペで見ると、ガラスのかけらのように透き通って見えます。板の中に、縁と平行な線や模様が入っていることもあります。
扇形は、六角形の角の部分から、扇のように広がった板が六つ伸びた形です。角板と樹枝状の中間のような姿で、花びらのように見えるものもあります。
樹枝状は、六本の枝からさらに細かな枝が出た、もっとも有名な形です。大きいものは数ミリになり、肉眼でもはっきり形がわかります。羊歯(しだ)の葉のように細かく分かれたものは、羊歯状と呼ばれることもあります。
柱の仲間(角柱・針・鼓型)
角柱は、六角形の断面を持つ短い柱の形です。鉛筆の先を短く切ったような姿で、横から見ると長方形に、端から見ると六角形に見えます。柱の両端がくぼんで、中が空洞になっているものもあります。
針は、細長く伸びた柱で、白い糸くずのように見えます。肉眼では雪の粒というより、短い毛のように感じられるかもしれません。
鼓型は、角柱の両端に六角形の板が付いた形です。柱の形で育った結晶が、途中で板の形が育つ温度の場所に移ったときにできると考えられています。両端の板の大きさが違うものも多く、見つけると「道のり」の変化がよくわかる形です。
雲粒付きと霰(あられ)
結晶が落ちる途中で、雲の中の小さな水滴がぶつかって凍りつくと、表面に白い粒々が付いた「雲粒付き」の結晶になります。粒が少なければ元の形がわかりますが、たくさん付くと形が埋もれていきます。
さらに多くの水滴が付いて、元の形がわからないほど丸くなったものが霰です。白く不透明な粒で、地面に落ちると弾むことがあります。日本海側の雪では、雲粒付きの結晶や霰がよく見られます。

形が不規則なものも多い
実際に観察すると、図鑑のような整った形はむしろ少なく、枝の長さがそろっていないもの、途中で折れたもの、いくつかの結晶がくっついたものがたくさん見つかります。
不規則な結晶は、観察の失敗ではなく、空の上で起きたことの記録です。枝が三本だけ長いもの、十二本の枝に見えるもの(二つの結晶が重なったもの)など、変わった形を探すのも観察の楽しみです。
観察に向いた日と場所の見つけ方
雪の結晶をきれいに見られるかどうかは、道具よりも天気の条件に左右されます。雪が降っていればいつでも見られるわけではないので、向いた日の特徴を知っておくと効率よく観察できます。
気温が低く、風が弱い日
地上の気温が0度に近いと、結晶は落ちてくる途中で溶けかけたり、たくさんくっついて大きな雪片(ぼたん雪)になったりします。結晶の形を見たいなら、地上でも氷点下で、雪が乾いてさらさらしている日が向いています。
風が強いと、結晶は地面に落ちる前に風でぶつかり合い、枝が折れてしまいます。風の弱い夜や朝、空から静かに降ってくる雪のときが観察の好機です。
地域による違い
北海道の内陸部など、寒さの厳しい地域では、乾いた雪の中に整った樹枝状の結晶がよく見つかります。日本海側の雪は、海からの湿った空気で雲粒が付きやすく、雲粒付きの結晶や霰が多くなる傾向があります。
太平洋側の平野部では雪の日自体が少なく、気温も0度前後のことが多いため、大きな雪片になりやすい傾向があります。それでも、降り始めや冷え込んだ夜には、小さな角板や樹枝状の結晶が混じっていることがあります。
観察する場所の選び方
観察は、雪が直接落ちてくる屋外で、足元が安定し、車や人の通行の邪魔にならない場所で行います。軒下は雪が落ちてこないので、軒下から手だけ出す形にすると、体が雪をかぶりにくく観察しやすくなります。
凍った路面や、屋根からの落雪が起こりそうな場所は避けます。夜に観察する場合は、手元を照らすライトも用意しておきます。寒い中で長く立つことになるので、冬の旅行で寒さに備える服の重ね方のような重ね着の考え方で、体を冷やさない準備をしておきましょう。











