冬至の由来と過ごし方|一陽来復の意味、ゆず湯とかぼちゃ、「ん」のつく食べ物まで
一陽来復:冬至が「よい日」とされる理由
冬至は、夜がいちばん長い暗い日であると同時に、昔から「よいことが戻ってくる日」として大切にされてきました。それを表す言葉が「一陽来復(いちようらいふく)」です。
陰が極まり、陽が戻る
一陽来復は、古代中国の占いの書である『易経』に由来する言葉です。易では、世の中のものごとを「陰」と「陽」の組み合わせで考えます。冬に向かって陰の力が強まり、冬至で陰がきわまると、そこから再び陽の力が戻りはじめる、と考えられました。冬至の日は、太陽の力がいちばん弱まる日であると同時に、ここから太陽の力がよみがえる「始まりの日」でもあったのです。
このことから、一陽来復には「冬が終わって春が来る」という意味のほかに、「悪いことが続いたあとに、運が上向いてくる」という意味も込められるようになりました。
暦の始まりとしての冬至
古代の中国では、冬至を一年の始まりとする暦が使われていた時代がありました。昼がもっとも短い日は、影の長さで観測しやすく、季節の基準にしやすかったからです。日本でも、冬至は暦の計算の大切な基準とされてきました。
特におめでたいとされたのが「朔旦冬至(さくたんとうじ)」です。旧暦の11月1日、つまり新月の日と冬至が重なることで、およそ19年に一度めぐってきます。月の始まりと太陽の力がよみがえる日が重なることから、宮中では祝いの行事が行われていた記録が残っています。
一陽来復のお守り
冬至の日から、一陽来復と書かれたお守りやお札を授ける神社もあります。家の中の決まった方角に貼るなど、まつり方に独自の決まりがあることが多いので、受けたときは、その神社の案内に従います。授与の期間や方法は神社ごとに違うため、出かける前に神社の公式の案内を確かめておくと安心です。

ゆず湯の由来と入り方
冬至の習わしとしていちばん身近なのが、ゆず湯です。湯船にゆずの実を浮かべて入ると、さわやかな香りが広がります。
語呂合わせと邪気払い
ゆず湯の由来には、いくつかの説があります。よく知られているのは、冬至を「湯治(とうじ)」に、柚子を「融通(ゆうずう)がきく」にかけた語呂合わせから広まったという説です。江戸時代の銭湯で、冬至の日にゆずを浮かべるようになったのが始まりとも言われています。
もう一つは、香りの強いものには邪気をはらう力があるという考え方です。端午の節句に入る菖蒲湯と同じように、季節の変わり目に強い香りの植物を湯に入れ、体を清めて新しい季節を迎えるという意味がありました。冬至は、一陽来復の考え方のとおり「生まれ変わる日」でもあったので、身を清めるのにふさわしい日とされたのでしょう。
ゆず湯の入れ方
ゆず湯の入れ方は、大きく分けて三つあります。
- ゆずを丸ごと浮かべる。香りはおだやかで、後片付けがいちばん楽です。
- 輪切りや半分に切って入れる。香りが強く出ますが、種や果肉が散らばりやすくなります。
- 切ったゆずを布の袋や洗濯ネットに入れる。香りを出しつつ、後片付けを楽にできます。
丸ごと入れる場合は、湯船に入れる前にゆずの表面を洗い、軽くもんだり、表面に竹串で穴をあけたりすると香りが出やすくなります。数は、家庭の湯船なら数個から始めてみるとよいでしょう。
ゆずの皮に含まれる成分で、肌がぴりぴりしたり、赤くなったりすることがあります。肌の弱い人や小さな子どもは、丸ごと浮かべるなど刺激の少ない入れ方にし、違和感があればすぐに上がってシャワーで流してください。湯船の素材によっては、果汁で変色することもあるので、給湯器や浴槽の説明書も確認しておくと安心です。
使い終わったゆずは、袋ごと取り出して処分します。追いだき機能のある湯船では、果肉や種がフィルターに詰まらないよう、袋に入れる方法が向いています。

かぼちゃと「ん」のつく食べ物
冬至の食べ物といえば、かぼちゃです。夏にとれるかぼちゃを、なぜ冬至に食べるのでしょうか。

保存のきく野菜としてのかぼちゃ
かぼちゃは夏から秋に収穫されますが、皮が固く、風通しのよい場所に置いておけば長く保存できます。冷蔵や流通が発達していなかった時代、冬は畑からとれる野菜が少なくなる季節でした。そのなかで、夏にとって保存しておいたかぼちゃは、冬に食べられる貴重な野菜だったのです。寒さの厳しい時期に、色の濃い野菜をとって冬を乗り切ろうという、暮らしの知恵だったと考えられます。
「ん」のつく食べ物で運を呼ぶ
冬至には、「ん」のつく食べ物を食べると運が呼び込めるという言い伝えもあります。「運」の字に「ん」が入っていることにちなんだ縁起かつぎで、「運盛り」とも呼ばれます。かぼちゃは別名を「なんきん(南瓜)」といい、「ん」が二つ入るので、特に縁起がよいとされました。
なかでも「ん」が二つ入る七つの食べ物は、「冬至の七種(ななくさ)」と呼ばれることがあります。
| 食べ物 | 「ん」の入った呼び方 | ひとこと |
|---|---|---|
| かぼちゃ | なんきん | 煮物やいとこ煮に |
| にんじん | にんじん | 汁物や煮しめに |
| れんこん | れんこん | 穴から先が見通せる縁起物 |
| ぎんなん | ぎんなん | 炒って塩をふる |
| きんかん | きんかん | 甘煮にすることが多い |
| 寒天 | かんてん | 寄せ物や甘味に |
| うどん | うんどん | 昔の呼び方とされる |
すべてをそろえる必要はなく、一つか二つを食卓に取り入れるだけでも、冬至らしい雰囲気になります。ぎんなんは、一度にたくさん食べないように昔から言われている食べ物なので、少量を楽しむ程度にしておきます。
いとこ煮
かぼちゃと小豆を一緒に煮た「いとこ煮」も、冬至の料理として知られています。かたいものから順に煮ていくことを「追い追い(甥甥)」にかけて、いとこ煮と呼ぶようになったという説があります。小豆の赤と、かぼちゃの黄色が並ぶ、冬らしい色合いの一品です。
冬至がゆと世界の冬至の食べ物
冬至には、小豆を入れたおかゆを食べる地域もあります。小豆の赤い色には、災いを遠ざける力があると考えられてきたためです。冬至は陰がきわまる日、つまり悪いものが入り込みやすい日とも考えられていたので、赤い小豆で邪気をはらい、新しい一年の健康を願いました。
冬至に特別な食べ物をとる習慣は、中国にも見られます。北方では餃子を、南方ではもち米の粉で作った丸い団子を食べる習慣が知られています。冬至を大切にする考え方が、東アジアに広く伝わっていたことがうかがえます。
世界の冬至
冬至は、昼がもっとも短く、ここから太陽の力が戻ってくる日として、世界のさまざまな地域で特別な日とされてきました。
北ヨーロッパには、冬至のころに「ユール」と呼ばれる冬の祭りがありました。長い夜を火を焚いて過ごし、太陽が戻ってくるのを祝う祭りで、のちにクリスマスの習慣と結びつき、北欧の国々ではクリスマスのことを今もユールに近い言葉で呼びます。クリスマスと冬の祭りのつながりは、クリスマスの由来でも紹介しています。
イランなどでは、冬至の夜を「ヤルダーの夜」と呼び、家族や親しい人が集まって夜更かしをする習わしがあります。ざくろやすいかなど赤い果物を食べ、詩を読んで、一年でいちばん長い夜を過ごします。
アイルランドのニューグレンジにある古代の墓では、冬至の日の出のころにだけ、入り口の上の窓から朝日が奥の部屋まで差し込むように造られています。数千年前の人々が、冬至の太陽の動きを正確にとらえていたことを示す例として知られています。

なお、南半球では季節が逆になるので、12月のこの時期は昼がいちばん長い夏至にあたります。オーストラリアや南米などでは、冬至は6月になります。









