透明水彩の始め方|絵の具・紙・筆の選び方と、にじみ・ぼかし・重ね塗りの基本
基本の技法① 水の量と紙の乾き具合を読む
透明水彩のほとんどの技法は、「筆にどれだけ水を含ませるか」と「紙がどれだけ濡れているか」の組み合わせで決まります。この二つを意識するだけで、思いどおりにいかない理由の多くが見えてきます。
紙の状態は大きく三つ
紙の状態は、水が光って見えるほど濡れている状態、表面の光が消えて湿っている状態、すっかり乾いた状態の三つに分けて考えるとわかりやすくなります。
濡れた紙に絵の具をのせると、色は大きく広がってやわらかくにじみます。湿った紙では、にじみは小さく、輪郭がほどよくぼけます。乾いた紙では、筆の跡がそのままくっきり残ります。
筆の水と紙の水の関係
絵の具は、水の多いほうから少ないほうへ流れます。この性質を覚えておくと、にじみを思いどおりに扱いやすくなります。紙が半乾きのところに、水をたっぷり含んだ筆で触れると、水が乾きかけの絵の具を押し広げ、花のような輪じみ(バックラン)ができます。これは後で説明する失敗の大きな原因でもあります。
基本の技法② にじみ・ぼかし・グラデーション
ウェット・イン・ウェット(にじみ)
紙を先に水で濡らしておき、その上に絵の具をのせて自然に広げる技法です。空や水面、遠くの山、背景のやわらかな色合いに向いています。

- 塗りたい範囲を、きれいな水を含ませた筆で均一に濡らす。
- 表面の光が少し落ち着くまで、数十秒ほど待つ。
- 筆に絵の具を含ませ、濡れた紙に軽く置く。筆でこすらず、色が広がるのに任せる。
- 別の色を置くと、紙の上で自然に混ざり合う。
- 紙が乾くまで、触らずに水平に置いておく。
色は乾くと少し薄く見えるので、濡れているうちは、思ったより少し濃いめに置くのがコツです。
ぼかし
乾いた紙に塗った色の縁を、水を含ませたきれいな筆でなでて、やわらかく消していく技法です。丸い物の陰や、頬の赤みなど、境目のはっきりしない部分に使います。色を塗った直後、乾く前にすばやくぼかすのがポイントです。
グラデーション
紙を少し傾け、上から下へ帯状に色を塗り進め、途中から筆に水を足して少しずつ色を薄くしていく技法です。傾けることで、塗った帯の下に絵の具の溜まり(ビード)ができ、次の帯がそれを拾いながら進むので、むらなくつながります。

基本の技法③ 重ね塗りとふき取り
重ね塗り(グレーズ)
一度塗った色が完全に乾いてから、上に別の色や同じ色を重ねる技法です。透明水彩ならではの、深みのある色や影を作れます。
重ね塗りのいちばんのコツは、下の色が完全に乾くまで待つことです。乾ききっていないうちに重ねると、下の色が溶け出して濁ったり、むらになったりします。紙を触って冷たく感じるときは、まだ湿っている合図です。
重ねる回数が多すぎると、色が沈んで重たくなります。一度で決めようとせず、二、三回の重ねで色を作る、と考えておくと加減しやすくなります。
ふき取り(リフティング)
塗った色を、湿らせた筆やティッシュで吸い取って、明るい部分を作る技法です。雲の白い部分や、光の当たったところに使います。濡れているうちなら、ティッシュを軽く押し当てるだけで色が取れます。乾いた後でも、水を含ませた筆でなでて、ティッシュで吸い取ると、ある程度明るくできます。
ふき取りやすさは、紙と色の性質によって違います。紙に染み込みやすい色や、表面の弱い紙では、色が取れにくかったり、紙が毛羽立ったりします。
塗り残しとマスキング
いちばん明るい部分は、塗らずに紙の白を残して表します。細かい部分を塗り残したいときは、マスキング液というゴム状の液を先に塗っておき、乾いた後に上から色を塗って、最後にはがすと、白い部分がきれいに残ります。マスキング液は筆の毛を固めてしまうことがあるので、専用の筆や使い古した筆を使います。










