ZIPファイルの圧縮と解凍|ファイル名の文字化け、開けないときの確認、パスワード付きZIPの受け渡し
パスワード付きZIPの仕組みと二つの方式
ZIPには中身を暗号化してパスワードをかける機能があります。ここでは仕組みと限界を整理します。

作成には対応ソフトが必要
Windowsのエクスプローラーにも、Macの標準の圧縮機能にも、パスワードを設定する画面はありません。Windowsで作るなら7-Zipのような対応ソフトを使います。手順の流れは次のとおりです。
- 対応ソフトをインストールします。公式サイトから入手します。
- 圧縮するファイルを選び、ソフトの圧縮メニューを開きます。
- 形式にZIPを選び、パスワードを入力します。
- 暗号化方式を、相手が開ける範囲で選びます。
Macではターミナルのzip -e ファイル名.zip 対象でパスワード付きのZIPを作れますが、方式は古いほうになります。
古い方式とAES方式
ZIPのパスワードには、大きく分けて二つの方式があります。ZipCryptoと呼ばれる従来の方式と、AES-256です。
従来の方式は、Windowsの標準機能でも開けるので互換性は高いものの、暗号としては弱いことが知られています。機密を守る目的なら、AES-256を選びます。ただしAES方式のZIPは、Windowsの標準機能では開けないことがあります。相手が「エラーになる」「開かない」と言うときは、この違いを疑います。
パスワードをかけても見えるもの
見落としやすいのは、ZIPの暗号化は基本的に中身だけが対象だという点です。パスワードがかかっていても、ファイル名の一覧は誰でも見ることができます。「2026年度_退職者一覧.xlsx」のような名前は、それ自体が情報です。名前も隠したいときは、ZIPの中に別のZIPを入れる方法もありますが、7zという形式にして名前も暗号化する設定を選ぶほうが素直です。
また、強度はパスワードの長さに大きく左右されます。短い英単語や日付は、総当たりで試されると簡単に破られます。パスワードの作り方と管理はパスワードマネージャーの基本を参考にしてください。
PPAPが見直された理由と、代わりの方法
パスワード付きZIPをメールに添付し、続けて別のメールでパスワードを送る。日本の企業で広く行われてきたこの方法は、PPAPと呼ばれています。2020年11月に、内閣府と内閣官房でパスワード付きファイルのメール送付をやめる方針が示され、民間でも見直しが広がりました。法律で禁じられているわけではありませんが、問題点はよく知られています。
問題は三つある
- 同じ経路で送っている:ファイルとパスワードが同じメールの経路を通るので、途中で読まれるならどちらも読まれます。メールアカウントを乗っ取られた場合も同じです。
- ウイルス検査が届かない:暗号化された添付ファイルは、メールサーバー側の検査で中身を確認できません。実際に、Emotetと呼ばれるマルウェアがパスワード付きZIPで広がった例があり、IPAが注意を呼びかけました。
- 手間の割に守られていない:送る側も受ける側も手間がかかるのに、得られる安全性は小さい状態です。

代わりになる方法
現在の主な代わりは、クラウドストレージの共有機能です。ファイルをクラウドに置き、相手のメールアドレスを指定して権限を与えます。期限やダウンロードの可否を設定できるものもあり、誤って送ったときに共有を取り消せることが、メール添付との大きな違いです。共有リンクの設定で注意したい点はクラウドのファイル共有を安全に使う方法にまとめています。
| 方法 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| クラウドの個別共有 | 継続して取引する相手 | 相手の組織で閲覧が許可されているか |
| 共有リンク+期限 | 一時的な受け渡し | リンクを知る人が開けないよう制限する |
| 法人向けのファイル転送サービス | 社外へ大きなファイルを送る | 会社で契約したものを使う |
| パスワード付きZIP+別経路 | 相手がほかの方法を使えない | 電話やチャットなど経路を分ける |
相手の環境の都合でパスワード付きZIPを使うしかない場合は、せめてパスワードを別の経路(電話、事前に取り決めた言葉、別のチャットなど)で伝え、AES-256を選び、パスワードを十分に長くします。仕事の場合は、個人の判断で方法を変えるのではなく、社内の情報セキュリティの決まりに従います。制度や推奨される方法は変わることがあるので、最新の情報は所属先の担当部署や公的機関の案内で確認してください。
受け取ったZIPを開く前に見ること
ZIPは中身が開く前に見えにくい形式なので、悪意のあるファイルを包むのにも使われます。
注意が必要なZIP
次のようなものは、開く前に立ち止まります。
- 請求書や配送の通知を名乗る、心当たりのないメールの添付
- 本文にパスワードが書かれているZIP
- 中身が
.exe、.js、.vbs、.lnk、.scrなどの実行できるファイル 請求書.pdf.exeのように、拡張子が二重になっている名前- Office文書を開くと「コンテンツの有効化」を求めるもの
Windowsでは、初期設定で拡張子が隠れていることがあります。エクスプローラーの「表示」から「ファイル名拡張子」を有効にしておくと、見分けやすくなります。
知っている相手の名前で届いていても、過去のメールの内容を流用した偽のメールがあります。「なんとなく変だ」と感じたら、そのメールに返信せず、電話や別の連絡手段で確かめます。見分け方はフィッシングメールの見分け方でも扱っています。
仕事の添付で迷ったら
業務で扱うものなら、開く前に情報システムの担当者に相談するのが確実です。もし開いてしまった場合は、パソコンをネットワークから切り離し、自分だけで判断せずすぐに担当者へ連絡します。その際、電源を切らずに指示を待つよう求められることもあるので、組織の手順に従います。
ZIPを渡す前の小さな工夫
受け取る側の負担を減らす工夫もあります。一つのフォルダーに入れてから圧縮する。フォルダーとファイルの名前を英数字にする。中身の一覧を本文に書く。ウイルス対策の検査を終えてから送る。これだけで、相手が迷うことがかなり減ります。
まとめ
ZIPは、ファイルをまとめる形式であり、繰り返しの多いデータを元に戻せる形で縮める形式でもあります。写真や動画は小さくならないこと、ダブルクリックしただけでは展開されていないこと、ファイル名の文字化けは文字コードの記録の緩さから起きることを知っておくと、多くのトラブルは原因の見当がつきます。パスワード付きZIPは、ファイル名が見える点や、同じ経路で送る弱さを理解したうえで、ほかの方法が使えないときの手段と考えるのが現実的です。
最初の一歩として、次に誰かへファイルを送るときに、中のファイル名を半角英数字にしてから一つのフォルダーに入れて圧縮してみてください。受け取る側の環境を気にしなくてよくなり、文字化けの問題がそれだけで消えます。
よくある質問
ZIPにしてもファイルが小さくならないのはなぜですか?
写真のJPEGや動画のMP4、多くのPDFは、作られた時点ですでに圧縮されているためです。同じパターンがほとんど残っていないので、ZIPにしても容量はあまり変わりません。その場合のZIPは、複数のファイルを一つにまとめる役割が中心になります。
ZIPの中のファイルを編集したのに保存されていません。なぜですか?
展開せずにダブルクリックで開くと、ファイルは一時的な場所に取り出された状態になっていることがあります。そのまま保存すると、元のZIPには戻らず見失いやすくなります。編集するファイルは、先にすべて展開してから開くのが確実です。
Macから届いたZIPのファイル名が文字化けします。直せますか?
ファイル名の文字コードの扱いが、作った側と開く側で合っていないことが主な原因です。文字コードを指定して展開できるソフトを使うと読めることがあります。送る側にファイル名を英数字に変えて作り直してもらうのが、最も確実な方法です。
パスワード付きZIPをWindowsの標準機能だけで作れますか?
エクスプローラーの圧縮機能には、パスワードを設定する画面がありません。作るには7-Zipのような対応ソフトが必要です。ただし、仕事のやり取りでは、社内の決まりに沿ってクラウドの共有機能などを使うほうが適している場面が増えています。
知らない相手から届いたZIPは、中身だけ見てもよいですか?
開かないほうが安全です。パスワード付きZIPは、メールのウイルス検査をすり抜ける手口にも使われてきました。心当たりがあるように見えても、メール以外の方法で相手に確認してから扱います。










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