大根の部位別の使い分け|上・真ん中・先端の味の違い、葉と皮の使い方、下ごしらえと保存まで
大根は、葉に近い上のほうと真ん中、先端で甘みや辛み、かたさが違います。部位ごとに味が変わる理由と向く料理、繊維の向きを生かした切り方、大根おろしの辛さの調整、煮物の面取りや下ゆで、葉と皮の使い方、丸ごと1本を使い切る保存の工夫までをまとめました。

冬になると、太くてみずみずしい大根が店に並びます。煮物、おでん、大根おろし、みそ汁と出番は多い野菜ですが、1本買うと使い切る前に残ってしまい、気づけばしなびていた、という経験がある人もいるのではないでしょうか。
大根は、葉に近い上のほう、真ん中、先端のほうで、甘みや辛み、かたさがかなり違います。部位ごとの特徴を知って料理を割り振れば、それぞれの部分をいちばんおいしく食べられ、1本を無駄なく使い切りやすくなります。ここでは、部位で味が違う理由から、向く料理、切り方、大根おろしの辛さの調整、煮物の下ごしらえ、葉と皮の使い方、保存の工夫までを順に紹介します。
大根の部位で味が違う理由
大根の白い部分は、根と、根と葉の間をつなぐ胚軸(はいじく)という部分からできています。上のほう、葉に近い緑がかった部分はおもに胚軸で、地上に出ていたり、地面の浅いところにあったりした部分です。下のほう、先端に向かって細くなる部分が、本来の根にあたります。
根は、土の中の水分や養分を吸い上げる役目を持つ部分です。先端に近いほど新しく育っている部分で、組織がしっかりしていて、繊維もやや多めです。一方、上のほうは水分と糖を多く蓄えていて、みずみずしく甘みを感じやすい部分です。
辛みはどこから来るのか
大根の辛みのもとは、イソチオシアネートという成分です。もともと大根の細胞の中には、辛みのもとになる成分と、それを分解する酵素が別々に入っています。切ったり、すりおろしたりして細胞が壊れると、この二つが混ざって反応し、辛みが生まれます。
辛みのもとになる成分は、先端に近い部分や皮の近くに多く含まれるとされます。根は土の中で虫などから身を守る必要があり、辛みはその防御の役割を持っていると考えられています。そのため、同じ大根でも、先端のほうほど辛く、上のほうほど辛みが少なく感じられます。
辛みは時間とともに抜けていく
イソチオシアネートは揮発しやすく、時間がたつと辛みが弱まっていきます。おろしたての大根おろしがいちばん辛く、しばらく置くとまろやかになるのはこのためです。加熱しても辛みはほとんど感じられなくなり、煮物にすると甘みが前に出てきます。
この性質を知っておくと、辛みを生かしたいときはおろしたてを使い、辛みを抑えたいときは少し置いてから使う、という調整ができます。

上・真ん中・先端の特徴と向く料理
大根を3つに分けて考えると、料理の割り振りがしやすくなります。大根の大きさにもよりますが、だいたい長さを3等分するつもりで切り分けると、それぞれの部分の特徴をつかみやすくなります。

| 部位 | 味と食感 | 向く料理 |
|---|---|---|
| 上(葉に近いほう) | 甘みが強く、辛みが少ない。みずみずしい | 甘めの大根おろし、サラダ、なます、浅漬け |
| 真ん中 | 甘みと辛みのバランスがよく、やわらかい | ふろふき大根、おでん、ぶり大根などの煮物 |
| 先端 | 辛みが強く、繊維がやや多い | 辛みのある大根おろし、みそ汁、炒め物、漬物 |
上のほうは生で甘さを味わう
葉に近い上のほうは、大根のなかでいちばん甘く、辛みが少ない部分です。水分も多くシャキシャキとしているので、サラダや、酢と合わせるなます、塩でもんだ浅漬けなど、生のまま食べる料理に向いています。
大根おろしにする場合も、上のほうを使うと、辛みが少なく甘いおろしになります。子どもが食べる料理や、辛みが苦手な人がいるときは、上のほうを選ぶとよいでしょう。上のほうは緑がかっていることが多いですが、これは日の光を浴びて育った部分だからで、品質の問題ではありません。
真ん中は煮物の主役
真ん中の部分は、太さが均一で、肉質がやわらかく、甘みと辛みのバランスがとれています。厚めの輪切りにしても形がそろいやすく、煮えむらが出にくいので、煮物に向いています。
ふろふき大根やおでん、ぶり大根など、大根そのものを主役にした煮物には、真ん中を使うと仕上がりが安定します。おでんの大根の下ごしらえについては、おでんの煮方でも紹介しています。
先端は辛みを生かす
先端の部分は辛みが強く、繊維もやや多めです。焼き魚やそば、天ぷらの薬味など、辛みを効かせたい大根おろしにすると、料理の味が引き締まります。
加熱すると辛みが抜けるので、みそ汁の具や、細切りにした炒め物、きんぴらなどにも使えます。先端は細いので、輪切りにすると形が小さくなりますが、いちょう切りや細切りにすれば気になりません。
迷ったときの考え方
どの部位をどの料理に使うか迷ったときは、「生で食べるなら上、煮るなら真ん中、辛みを生かすか細かく切るなら先端」と覚えておくと決めやすくなります。
もっとも、どの部位でもすべての料理に使えないわけではありません。上のほうを煮物にすればみずみずしく甘い煮物になり、先端を煮物に使えば、少し歯ごたえの残る煮物になります。部位の特徴は、料理の仕上がりを少し変えるもの、くらいに考えて、手元にある部分で作りたい料理を作るのがいちばんです。
葉と皮も使い切る
葉付きの大根を買ったときや、煮物で皮を厚めにむいたときは、葉や皮も料理に使うと、1本を無駄なく食べられます。どちらも、根とはまた違う味や食感があります。
葉は早めに切り落とす
葉が付いたままの大根を置いておくと、根の水分が葉のほうへ引かれて、根がしなびやすくなります。葉付きの大根を買ったら、早めに葉を切り落とし、根と葉を別々に保存しましょう。
大根の葉は緑黄色野菜で、根の白い部分とは違う栄養を持っています。少し苦みと香りがあり、刻んで炒めたり、ゆでて混ぜご飯にしたりすると、彩りのよい一品になります。

ゆでて刻んだ葉は、ごま油で炒めてしょうゆとかつお節で味をつけると、ご飯に合うふりかけ風の一品になります。ご飯に混ぜて菜飯にしたり、みそ汁や卵焼きに加えたりしてもよいでしょう。葉は傷みやすいので、買ってきた日か翌日には下ごしらえをしておくと安心です。
皮は細切りにしてきんぴらに
大根の皮のすぐ内側には、筋っぽい繊維の層があります。煮物にするときは、この筋の内側まで皮を厚めにむくと、口当たりがなめらかに仕上がります。厚めにむいた皮は、そのまま捨てずに料理に使えます。
皮は細切りにして、ごま油で炒め、しょうゆやみりんで味をつけるきんぴらにすると、ポリポリとした歯ごたえが楽しめます。酢じょうゆに漬けて即席の漬物にしたり、干して切り干し大根のように使ったりする方法もあります。皮に近い部分は辛みのもとも多く含むので、炒めるとほどよい風味が残ります。










