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歴史・文化

日本の伝統色の名前と由来|藍・紅・茜の染料、四十八茶百鼠、色名の読み方と楽しみ方

染料から生まれた色|藍・紅花・茜・紫草・刈安

植物で染める色

化学染料が広まる前、布は主に植物から取った染料で染められていました。染料になる植物の名前は、そのまま色名にもなっています。代表的な染料と、そこから生まれた色を見てみましょう。

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植物の染料と藍色や赤みのある染め布
植物の染料が伝統色の名につながる

藍(あい) は、タデアイなどの葉から取る青の染料です。染める回数で濃さが変わり、薄い水色から黒に近い紺まで、多くの色名が生まれました。藍染めの職人は紺屋(こうや、こんや)と呼ばれ、「紺屋の白袴」ということわざにも名前が残っています。

紅花(べにばな) は、花びらから赤い色素を取り出す染料です。鮮やかな紅色(くれないいろ)を染めますが、色素が少なく、濃く染めるには多くの花が必要でした。薄く染めた淡い紅色は「一斤染(いっこんぞめ)」と呼ばれ、許し色のひとつとされました。

茜(あかね) は、根を使う赤の染料です。「あかね」という名前は「赤い根」から来たとされます。夕焼けの空を「茜色の空」と表現するのは、この色名からです。

紫草(むらさき) は、根から紫の色素を取る植物です。植物の名前がそのまま色の名前になった例で、紫を染めるのは手間がかかり、高貴な色とされました。

江戸時代には、江戸で染められた青みの強い紫を「江戸紫」、京都の伝統的な赤みのある紫を「京紫」と呼び分けたと言われます。同じ紫でも、土地や染め手によって色みが異なり、それぞれに名前が付いたことは、色名が地域の誇りとも結びついていたことをうかがわせます。ただし、どちらが青みでどちらが赤みかについては逆の説明をする資料もあるため、比べるときは出典を確かめてください。

刈安(かりやす) は、黄色を染める草です。名前は「刈りやすい」ことから来たという説があります。黄色の染料としては、ほかにキハダの樹皮(黄檗、きはだ)なども使われました。

重ね染めで生まれる色

染料を組み合わせて染めると、さらに多くの色が生まれます。たとえば緑色は、藍で青く染めた上に、刈安や黄檗で黄色を重ねて作りました。緑を一度で染める植物染料は少なかったため、重ね染めが欠かせませんでした。

身近な植物で染める方法は、今も手作業で試すことができます。玉ねぎの皮を使った染め方は、玉ねぎの皮で草木染めで紹介しています。実際に染めてみると、同じ材料でも布の種類や媒染によって色が変わることが分かり、伝統色の色名が一つの色に決まらない理由も実感できます。

代表的な染料と色(藍と紅花・茜と紫草・刈安の比較)
どの部分を使うかも植物ごとに違う。
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藍の濃淡の名前|甕覗から褐色まで

濃さに名前を付ける

藍染めは、布を染料の液に浸しては引き上げ、空気にふれさせる作業を繰り返して色を濃くしていきます。浸す回数によって色の濃さが変わるため、濃淡ごとに名前が付けられました。おおまかに、淡いものから濃いものへ並べると、次のようになります。

  1. 甕覗(かめのぞき) … いちばん淡い藍。藍の甕を少しのぞいた程度、という意味だと言われます。
  2. 水浅葱(みずあさぎ) … 浅葱をさらに薄くした色。
  3. 浅葱(あさぎ) … 緑みを帯びた明るい青。名前は薄いネギの葉の色から来たとされます。
  4. 縹(はなだ) … 澄んだ中くらいの青。古くから使われてきた藍の色名です。
  5. 藍色(あいいろ) … 落ち着いた濃い青。
  6. 紺(こん) … 紫みを帯びた深い青。
  7. 褐色(かちいろ) … 黒に近いほど濃い藍。「勝ち」に通じることから、武士に好まれたと言われます。

この並びは目安で、資料によって順番や含まれる色名が少し異なります。「褐色」は、現代では茶色を指して「かっしょく」と読むのが一般的なので、読み方で意味が変わる点にも注意が必要です。

浅葱と萌葱の取り違え

浅葱(あさぎ)と萌葱(もえぎ)は、どちらもネギに関係する字を使うため混同されがちです。浅葱は藍系の明るい青、萌葱は濃い緑を指します。さらに、萌黄(もえぎ)と書くと、春の新芽のような明るい黄緑を指すとされます。同じ「もえぎ」でも、字によって色が変わる例です。

藍の濃淡の名前(淡い順)(1. 甕覗、2. 浅葱、3. 縹、4. 藍・紺、5. 褐色)
並びは資料によって少し異なる。
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