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歴史・文化

日本の伝統色の名前と由来|藍・紅・茜の染料、四十八茶百鼠、色名の読み方と楽しみ方

読み方を間違えやすい色名

漢字だけでは読めない色名

伝統色の名前には、ふだん使わない漢字や、特別な読み方をするものが少なくありません。読み方を知っておくと、資料を調べるときにも検索しやすくなります。

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色名 読み方 色の印象と由来
縹 はなだ 澄んだ中くらいの青。藍染めの色
蘇芳 すおう 黒みを帯びた赤紫。蘇芳の木の心材で染める
鈍色 にびいろ 濃い灰色。喪に服すときの衣の色とされた
黄櫨染 こうろぜん 赤みを帯びた黄褐色。天皇の袍の色とされる
黄丹 おうに 赤みの強い橙色。皇太子の袍の色とされる
褐色 かちいろ 黒に近い藍。茶色の「かっしょく」とは別
今様色 いまよういろ 平安時代に流行した紅花の色とされる

読み方で意味が変わる色名

「褐色」のように、読み方によって指す色が変わる例は注意が必要です。古い資料で「かちいろ」と読む場合は藍の濃い色、現代の文章で「かっしょく」と読む場合は茶色を指すのが一般的です。同じように、「萌黄」と「萌葱」はどちらも「もえぎ」と読みますが、字によって黄緑と濃い緑に分かれるとされます。

色名を文章に書くときは、読み方の難しいものにふりがなを添えると、読み手が色を思い浮かべやすくなります。また、「今様色」の「今様」は「今の流行」という意味で、平安時代の流行色だったことが名前から読み取れます。こうした言葉の意味に注目すると、色名が当時の人の感覚を伝える記録でもあることが分かります。

喪の色と祝いの色

色名には、場面との結びつきを伝えるものもあります。鈍色は、平安時代に喪に服すときの衣の色とされ、亡くなった人との関係が近いほど濃い色を着たと言われます。一方で、紅や紫などの鮮やかな色は、祝いの場や高い位と結びついてきました。どの色がどの場面にふさわしいかは時代によって変わるため、現代の冠婚葬祭の服装の決まりとは分けて考えてください。

同じ名前でも色が違う|色見本の見方

色見本の差が生まれる理由

伝統色の色見本を何冊か見比べると、同じ名前でも色がかなり違うことに気づきます。理由はいくつかあります。

  1. もとの色が染めで表されていた … 伝統色は、もともと染料と染め方で作られた色です。染める回数や布の種類、媒染によって色が変わるため、もとから一つの色に決まっていませんでした。
  2. 時代とともに名前の指す色が変わった … 同じ色名が、時代によって違う色を指すことがあります。
  3. 再現する人の解釈が違う … 文献の記述や残された染織品から色を再現するとき、どれを手がかりにするかで結果が変わります。
  4. 印刷や画面で色が変わる … 本の印刷や、画面の設定によっても見え方は変わります。
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色見本を使うときのコツ

色見本の色を配色やデザインに使うときは、どの資料の色かを確かめ、必要なら出典を添えます。複数の資料で色が大きく違う色名は、ひとつの数値を「本物の色」と考えないほうが安全です。

自分で色名を調べるときは、次の手順で進めると整理しやすくなります。

色名を調べるときの確認(読み方を確かめたか、由来が染料か植物か人名か、どの時代の色名か、複数の資料で色を見比べたか、由来の言い伝えに注意したか)
一つの資料だけで決めつけない。

暮らしの中で伝統色を楽しむ

着物と和菓子に見る色

伝統色が最も身近に残っているのは、着物と和菓子の世界です。着物の色や柄には、季節の先取りや格の考え方が反映されています。着物の格の見方は、着物の紋の数と格の見方でも紹介しています。和菓子では、春の桜色や若草色、秋の紅葉の色など、季節の色を写したものが店頭に並びます。

和菓子屋の店先や着物の展示を見るときに、色を色名で言い表してみると、色の見分けが細かくなります。「ピンク」とひとくくりにしていた色が、桜色、鴇色、一斤染と、別々の色に見えてくるはずです。

配色に取り入れる

伝統色は、文様と組み合わせると、より和の雰囲気が強まります。文様の名前と意味は、日本の伝統文様の意味でまとめています。配色を考えるときは、季節の植物から色を拾う、藍の濃淡だけで組み立てる、茶と鼠の落ち着いた色に一色だけ差し色を入れる、といった考え方が手がかりになります。

色名を記録する楽しみ

散歩の途中で見た空の色や、季節の植物の色を、伝統色の名前で書き留めておくのもひとつの楽しみ方です。名前を付けようとすると、色をよく観察するようになり、同じ季節の中にも色の移り変わりがあることに気づきます。

まとめ

日本の伝統色の名前は、染料の植物、身近な植物や生き物、時代の流行や人の名前から生まれました。位を表した紫や紅、季節を映した襲の色目、江戸の茶と鼠の微妙な違いと、時代ごとに色との向き合い方も変わってきました。同じ色名でも資料によって色が違うのは、もとが染めで表された色で、時代や再現の仕方で揺れがあるためです。

最初の一歩として、身の回りで「あお」「ちゃ」「ねずみ」とひとくくりにしている色を三つ選び、伝統色の一覧からいちばん近い色名を探してみてください。可能なら二冊以上の資料で見比べて、色名と由来をノートに書き留めておくと、色の見方が少しずつ細かくなっていきます。

よくある質問

伝統色の色見本は、なぜ本や見本帳によって色が違うのですか?

伝統色の多くは、もともと染料や染め方で表された色で、数値で決められていたわけではありません。後の時代の研究者や出版社が、文献や染織品をもとにそれぞれ色を再現しているため、同じ名前でも色味に差が出ます。どの資料の色かを添えて使うと誤解が少なくなります。

「あお」が緑色を指すことがあるのはなぜですか?

古い日本語では、色を表す基本の言葉が少なく、「あお」が青から緑までの広い範囲を指していたと考えられています。青信号や青葉、青りんごといった言い方に、その名残が見られます。

鶯色は、うぐいす餅のような明るい黄緑色ですか?

伝統色の鶯色は、ウグイスの羽の色に由来する、茶色みを帯びたくすんだ緑色とされます。うぐいす餅などで思い浮かべる明るい黄緑色とは、印象がかなり異なります。

四十八茶百鼠は、本当に茶色が48、鼠色が100あったのですか?

数は実際の数ではなく、種類がとても多いことを表す言い方と考えられています。江戸時代に茶色や鼠色の微妙な違いに多くの名前が付けられ、流行したことを示す言葉です。

伝統色の名前を配色やデザインに使ってもよいですか?

色名そのものは一般的な言葉として広く使われています。ただし、色見本の数値や見本帳の内容は、それを作った資料のものです。数値を使うときは出典を確かめ、資料ごとの差があることを踏まえて選んでください。

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