お屠蘇の由来と飲み方|屠蘇散の浸し方、年少者から飲む順番、飲めない人の祝い方
家庭での作り方
用意するもの
作り方はとても単純です。必要なのは、屠蘇散1袋、清酒と本みりん、そして密閉できるガラスの瓶か徳利です。金属の容器でも作れますが、香りが移らないガラスや陶器のほうが扱いやすいでしょう。量は家族が一口ずつ飲むだけなら少なくて十分で、1袋あたり180〜300mLほどを目安とする製品が多く見られます。ただし、これは製品ごとに異なるので、袋の表示を優先します。


手順
- 瓶を洗い、よく乾かすか水気を切ります。
- 清酒と本みりんを、好みの割合で瓶に注ぎます。初めてなら同量から始めると失敗が少なくなります。
- 屠蘇散を袋のまま入れ、ふたをします。袋を切る必要はありません。
- 大晦日の夜なら、涼しい場所に置きます。冬の台所なら暖房の風が当たらない場所で足りますが、暖かい部屋なら冷蔵庫に入れて構いません。
- 元日の朝に袋を取り出します。袋を絞ると濁りや苦みが出やすいので、瓶の中で軽く揺すってから引き上げます。
- 銚子や徳利に移し、盃とともに用意します。
苦くなったときと香りが弱いとき
長く浸すほど生薬の成分が出て、やがて苦みが強くなります。製品によりますが、数時間から一晩程度で十分なことが多く、丸一日以上そのままにするのは避けたほうが無難です。初めての製品なら、夜のうちに味見をして、好みのところで引き上げる方法が確実です。
苦くなったお屠蘇は、本みりんを少し足すと飲みやすくなります。香りが弱いときは、次回は酒の量を減らすか、浸す時間を延ばします。温度が低いと成分が出るのに時間がかかるので、冷蔵庫で作るときはやや長めに考えます。
人数に合わせた量の考え方
お屠蘇は一人が盃に一口か二口飲めば足りるので、思ったより減りません。家族4人で三が日に少しずつ飲んでも、180mLあれば十分なことが多いでしょう。一人暮らしなら100mLほどの小瓶で作りたくなりますが、袋の分量のまま酒だけを減らすと、同じ時間でも濃く出ます。その場合は浸す時間を半分ほどから始め、味を見ながら引き上げます。袋を切って生薬を半分に分ける方法は、中身がこぼれて漉す手間が増えるので、おすすめしません。
逆に親族が集まって量が要るときは、1袋に対する酒の量を増やすのではなく、袋の数を増やします。酒を増やして薄めると、香りが物足りなくなります。
よくある失敗と避け方
作り方が単純なぶん、失敗の原因もおおよそ決まっています。
- 屠蘇散を買い忘れる: 年末ぎりぎりには売り切れていることがあります。12月中旬までに買っておきます。
- 元日の朝に浸し始める: 間に合わないわけではありませんが、香りが薄くなります。朝から飲むなら前夜に済ませます。
- 袋を入れたまま三が日を過ごす: 苦みが強くなります。引き上げる時間をあらかじめ決め、飲む前に必ず取り出します。
- 袋を強く絞る: 濁りと渋みが出ます。揺すって引き上げるだけにします。
- みりん風調味料で作る: 甘いだけで香りが立ちません。ラベルの「本みりん」の表示を確かめます。
前夜の段取りとしては、年越しそばを食べ終えて台所を片付けるときに瓶を用意するのが、忘れにくい流れです。袋を浸した瓶を冷蔵庫に入れ、「朝に袋を出す」と書いた紙を瓶の横に貼っておくと、元日の慌ただしい朝にも引き上げ忘れません。
酒とみりんの割合
清酒と本みりんの役割
清酒だけで作ると辛口ですっきりした味になり、生薬の香りがまっすぐに出ます。本みりんだけで作ると甘くとろりとした味になり、苦みが隠れて飲みやすくなります。古くからの作り方として、清酒に本みりんを加える家も、本みりんだけの家も、清酒だけの家もあります。どれか一つが正しいわけではありません。

味の好みが分からなければ、清酒1に対して本みりん1から試します。甘すぎると感じたら次回は清酒を増やし、3対1くらいまで寄せてみます。清酒は高価なものである必要はなく、香りが華やかすぎない、ふだんの純米酒などが生薬の香りと喧嘩しません。ラベルの読み方は日本酒のラベルの読み方で説明しています。
「みりん風調味料」では代わりになりません
本みりんは、もち米と米麹を焼酎などで熟成させたもので、一般に酒と同じくらいのアルコールを含みます。一方、「みりん風調味料」はアルコールをほとんど含まず、甘味料が中心です。香りを酒に移すという役目を考えると、本みりんを選びます。ただし「本みりんならアルコールがない」と誤解しないでください。甘くて飲みやすいぶん、子どもが飲みたがったときの扱いにも注意が要ります。
冷たいまま飲むか、温めるか
お屠蘇は常温か、少しだけ温めて飲む家が多いでしょう。冷蔵庫から出した直後は香りが閉じているので、飲む少し前に室温に戻しておきます。ぬるめの湯に徳利をつけて人肌ほどに温めると、肉桂や丁子の香りが立ち、冬の朝には口当たりもやわらかくなります。熱くしすぎるとアルコールの刺激が鼻につき、生薬の香りも飛びやすくなるので、ふだんの熱燗より低い温度で止めます。
煮切りは必須ではありません
「みりんは煮切ってから」と言われることがありますが、これは主に料理での話で、お屠蘇は煮切らずに作るのが一般的です。煮切りを行えばアルコールの刺激は和らぎますが、香りも一部飛びますし、アルコールがゼロになるとは限りません。お酒に弱い人のために煮切っても、飲ませてよいことにはならない点は覚えておきます。










