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歴史・文化

お屠蘇の由来と飲み方|屠蘇散の浸し方、年少者から飲む順番、飲めない人の祝い方

屠蘇器と盃のそろえ方

屠蘇器の構成

正式な屠蘇器は、漆塗りの銚子(注ぐための器)、三枚重ねの盃、それらを載せる台の組み合わせです。三枚の盃は大中小を重ねたもので、祝いの席で盃を三度重ねる三献の作法に通じるとされます。朱や黒の地に松竹梅や鶴亀の蒔絵が入ったものが代表的で、銚子に飾りや水引を添えることもあります。

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年末の準備(屠蘇散の袋の表示を確かめた、清酒と本みりんを買った、瓶か徳利を洗っておいた、盃を人数分用意した、運転する人に飲まない旨を確認した、子どもの分の別の飲み物を決めた)
12月中にそろえておくと慌てません。

屠蘇器がなくても構いません

家庭では、ふだんの徳利と小さな盃で十分です。盃がなければ、小さめのぐい呑みやおちょこでもよいでしょう。大切なのは器の格式より、少量を分け合うという形です。ガラスの瓶に袋を入れたまま食卓に出すより、徳利に移して盃を並べるだけで、正月らしい雰囲気になります。一人一つの盃を用意すれば、衛生面で気になる人も安心です。

一つの盃を順に回す形もありますが、今は感染症の不安や家族の考え方もあります。形にこだわらず、それぞれの盃に注ぎ分けて構いません。

漆器の手入れ

漆の屠蘇器を使ったら、次のように扱います。

  1. 使い終わったら早めに、ぬるま湯で洗います。酒の糖分が残るとべたつきます。
  2. 汚れが残るときは、柔らかいスポンジと少量の中性洗剤を使います。
  3. 蒔絵の部分はこすらず、やさしくなでるだけにします。金粉がはがれる原因になります。
  4. 洗い終わったら、柔らかい布で水分を拭き取ります。
  5. 乾いてから布や薄紙で包み、箱にしまいます。

電子レンジ、食器洗い機、直射日光の当たる場所は避けます。極端に乾燥した場所に長く置くと、ひびの原因になることもあります。箱にしまったままでなく、年に一度使って状態を確かめること自体が、よい手入れになります。

飲む順番と元日の流れ

年少者から飲むのが一般的です

お屠蘇の特徴的な作法が、年少者から順に飲むことです。目上の人から先に杯を受ける一般の酒席とは逆の順番になります。理由として、若い人の生気を年長者に分けるため、という説明がよく見られます。中国の習俗に由来するという説明もありますが、意味づけは資料によって異なります。

家族全員で飲むときの流れの例は次のとおりです。

  1. 元日の朝、身支度を整えて家族がそろいます。
  2. 新年のあいさつを交わします。
  3. 年長の人が銚子を持ち、いちばん年少の人の盃に注ぎます。
  4. 年の若い順に、一人ずつ口をつけていきます。
  5. 最後に、注いでいた年長の人も隣の人から受けて飲みます。

注ぐ人は誰か、三枚の盃をどう使うかは、家や地域によって違います。三枚の盃を順に使って三口に分ける家も、小さな盃だけを使う家もあります。実家の決まりがあるなら、それに従うのが一番です。

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地域や家によって違って当然です

本来の屠蘇散を使うか、正月の日本酒で済ませるかには、地域による傾向があるとされます。屠蘇の習慣そのものがあまりなかったという家もあります。結婚して相手の実家の正月に加わると、順番や器の違いに戸惑うこともあるかもしれません。その場合は、由来の正しさを持ち出すより、その家の形に従うほうが場が和みます。自分の家で新しく始めるなら、ここで紹介した手順を土台に、無理なく続けられる形に決めれば十分です。

元日の朝のどの場面で飲むか

お屠蘇を飲むのは、新年のあいさつの後、おせちや雑煮に箸をつける前がよく紹介される順番です。おせち料理の意味と詰め方でも触れているように、あいさつ、屠蘇、祝い肴、雑煮と進む流れが一例です。空腹でアルコールを口にするので、飲む量は盃に一口か二口で十分です。

この流れは三が日続ける家もあります。かつて宮中では元日に三種の御薬が用いられていたこともあり、薬を毎年の始まりに取り入れるという考え方が背景にあります。

喪中のときの考え方

喪中のあいだは祝いごとを控える考え方から、お屠蘇も控える家が多いとされます。もっとも、お屠蘇を「祝いの酒」と見るか「健康を願う飲み物」と見るかで受け取り方は分かれ、一律の決まりがあるわけではありません。家族や親族の考えに合わせて決めます。年末の連絡の仕方は喪中はがきの書き方で説明しています。

飲めない人の祝い方

お屠蘇の場で誰かが無理に飲むことは、本来の願いとは逆です。少量のアルコールでも飲んではいけない場面をはっきりさせておきましょう。

場面 考え方 できること
20歳未満 飲まない(法律で禁じられている) 口をつける真似をする、別の飲み物を盃に注ぐ
元日に運転する 飲まない(少量でも運転不可) 飲み物を替える、運転の予定をずらす
妊娠中・授乳中 飲まない 別の飲み物を用意する
持病や服薬がある 自己判断せず医師や薬剤師に確認 確認できなければ形だけにする
お酒に弱い 無理をしない 口をつける真似で十分

言い伝えとして、お酒が飲めない人は盃に口をつける真似をするだけでもご利益があるとされています。子どもの場合も同じです。盃に白湯や麦茶を入れて「お屠蘇のかわり」とし、順番には加わるという形にすれば、年少者から始めるという作法も崩れません。

運転については、初詣に車で出かける家では特に注意します。盃一杯でも酒気を帯びたまま運転してはいけません。「少しだから」「朝だから」は通用しないので、初詣より先に飲むなら、運転する人は最初から飲まないと決めておきます。初詣の出かけ方は初詣の由来と参り方で説明しています。

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余ったお屠蘇と季語の楽しみ

余りは早めに使い切ります

袋を引き上げたあとの余りは、密閉して冷蔵庫に入れ、三が日のうちに飲み切ります。

飲み切れなかった分は、煮物の隠し味に少量使う方法もあります。香りが独特なので、ぶり大根のように魚の煮物に少し加える程度にしておきます。味を確かめながら入れ、加熱するとはいえ、子どもや運転する人の分は別に作るほうが安心です。

俳句では新年の季語です

「屠蘇」は俳句で新年の季語です。関連して「屠蘇祝う」「屠蘇散」、正月の酒でご機嫌になった様子を表す「屠蘇機嫌」という言葉もあります。元日の短い時間に家族が集まる場面を切り取る題材として、古くから詠まれてきました。俳句と季語の入門を読んだことがあれば、今年の元日の一句に使ってみるのもよい試みです。

まとめ

お屠蘇は、屠蘇散という生薬の配合を清酒や本みりんに浸した薬酒で、中国の邪気払いの飲み物が平安の宮中を経て、家庭の正月に根づいたものです。年少者から順に飲む作法には、若い人の生気を年長者に分けるという説明がよく添えられます。作るのに必要なのは袋一つと一晩だけで、屠蘇器がなければ徳利と小さな盃で足ります。

最初の一歩として、12月の買い物のときに屠蘇散を一袋買い、袋に書かれた酒の量と浸す時間を確かめてください。大晦日の夜に清酒と本みりんを同量で合わせて袋を浸し、元日の朝に引き上げます。飲まない人の分の飲み物を一緒に用意しておけば、家族全員で同じ順番に加われます。

よくある質問

お屠蘇と正月に飲む日本酒は同じものですか?

もとは別のものです。お屠蘇は屠蘇散という生薬の配合を清酒や本みりんに浸した薬酒で、香りと甘みに特徴があります。ただし、正月の祝い酒そのものを屠蘇と呼ぶ地域や家庭もあります。

屠蘇散はどのくらい浸せばよいですか?

製品の表示に従うのが基本で、数時間から一晩ほどとするものが多く見られます。長く浸すと苦みが出やすいので、大晦日の夜に浸して元日の朝に引き上げる方法が取り入れやすい形です。迷うときは短めに始めて、味を見て決めます。

子どもにお屠蘇を飲ませてもよいですか?

お屠蘇は酒や本みりんで作るので、20歳未満の人は飲みません。盃に口をつける真似をするだけで祝えると言い伝えられています。温めてもアルコールがなくなるとは限らないため、形だけにするか、別の飲み物を盃に注ぎます。

なぜ年少者から飲むのですか?

若い人の生気を年長者に分けるため、と説明されることが多い作法です。中国の習俗に由来するとする説明もありますが、意味づけは資料や地域によって異なります。家ごとの順番があれば、それを優先して構いません。

屠蘇散の生薬を庭の植物や山野で集めて作れますか?

おすすめしません。山野の植物は見分けを誤る危険があり、古い処方には作用の強い生薬が使われていた例もあります。薬局や酒販店などで売られている屠蘇散を、表示どおりに使ってください。

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