鏡餅の飾り方と鏡開き|三方・裏白・橙の意味、飾る日と下げる日、硬い餅の開き方まで
どこに飾るか:床の間がない家での置き場所
本来の場所と、いまの住まいでの選び方
鏡餅を飾る場所として最も正式とされるのは床の間です。床の間は家の中で最も格の高い場所で、年神様を迎えるのにふさわしいと考えられてきました。神棚がある家では、神棚にも小さめの鏡餅を供えます。
床の間も神棚もない住まいでは、次のような点を目安に場所を選びます。
- 家族が集まる部屋(リビングなど)を選ぶ。年神様は家全体を見守る存在とされるので、人の気配がある場所が向いています。
- 目線より少し高い位置にする。棚やチェストの上など、見下ろさない高さが望ましいとされます。
- 清潔で落ち着いた場所にする。テレビやパソコンの真横、郵便物が積まれやすい場所は避けます。
- 暖房の風や日差しが直接当たらない場所にする。乾燥してひび割れたり、温かさでカビが出やすくなったりするのを防ぎます。
一つの家に複数飾る習慣
地域や家によっては、メインの鏡餅とは別に、小さな鏡餅を台所(火の神様)、井戸や水回り(水の神様)、仕事場や作業場、車などに飾ることもあります。これは家のさまざまな場所にいる神様に感謝を表す習わしです。必ずしもすべてに飾る必要はありませんが、台所に一つ置くだけでも、行事らしさがぐっと増します。

小さな子どもやペットのいる家では、手が届く低い場所や、倒れやすい不安定な台は避けます。橙や小さな飾りを口に入れてしまう事故を防ぐためにも、高さと安定を優先して場所を選んでください。
飾り方の手順と、そろえ方の工夫
伝統的な飾り方の順番
正式な飾り方の一例を、下から順に紹介します。地域や家によって違いがあるので、あくまで代表的な形として参考にしてください。

紙垂や昆布、扇などを添える場合は、餅の手前や左右に、全体のバランスを見ながら置きます。三方には向きの決まりがあり、扱いは地域や神社によって説明が少し異なります。正式な形にこだわりたい場合は、氏神様の神社の案内や、神具を扱う店の説明を確認すると安心です。
パック入り鏡餅と、手作りの鏡餅
いまは、プラスチックの容器に鏡餅の形を作り、中に小分けした餅を入れた商品が主流です。カビが生えにくく、鏡開きのときに割る手間がないため、少人数の家庭には扱いやすい選択です。容器ごと飾れて、飾りもセットになっていることが多いので、初めて飾る人にも向いています。
一方、餅をついたり、丸餅を買って自分で重ねたりする場合は、見た目に重みがあり、行事らしさも感じられます。ただし、水分が多いぶんカビが出やすく、鏡開きの頃にはかなり硬くなります。どちらを選ぶかは、家族の人数、食べる量、置き場所の環境で決めるとよいでしょう。

地域によって違う鏡餅のかたち
鏡餅は全国で同じ形をしているわけではありません。土地ごとの暮らしや信仰を反映した、さまざまな飾り方があります。
紅白の鏡餅、三段重ね
北陸の一部の地域では、白い餅の上に紅色の餅を重ねる紅白の鏡餅が見られます。紅白はおめでたい色の組み合わせで、祝いの気持ちをいっそう強く表すものです。また、餅を三段に重ねる地域もあり、より多く重ねることで繁栄を願う意味が込められていると言われます。
串柿や干し柿を添える地域
関西などでは、干した柿を串に刺した「串柿」を鏡餅に添える習わしがあります。一本の串に両端は二個ずつ、中ほどに六個と並べて「外はニコニコ(二個二個)、中むつ(六)まじく」と語呂合わせをする例が知られており、家族円満の願いを込めた飾りとして親しまれてきました。
地域差の調べ方
自分の地域の鏡餅のかたちを知りたいときは、次のような方法があります。
- 地元の神社の社務所や、郷土資料館で尋ねる
- 祖父母や近所の年長者に、昔の飾り方を聞いてみる
- 自治体や地域の文化財関係の資料を探す
こうした地域の飾り方は、年中行事の言い伝えが暮らしの中でどう受け継がれてきたかを知る手がかりにもなります。










