除夜の鐘と年越しそば|108回の意味、鐘の撞き方の作法、そばを食べる由来と地域の年越しの膳
年越しそばの由来
大晦日にそばを食べる習慣は、江戸時代に広まったと言われています。もとは、江戸の商家が月末の忙しい日に、手軽に食べられるそばを食べる「三十日(みそか)そば」という習慣があり、それが一年の最後の晦日である大晦日に特別な意味を持つようになったと考えられています。
そばに込められた意味の諸説
年越しそばを食べる理由として語られる説には、次のようなものがあります。どれも後から意味づけされたものも含まれると考えられ、地域や家によって伝わる話が違います。
| 説 | 内容 |
|---|---|
| 長寿を願う | そばのように細く長く生きられるように |
| 厄を断ち切る | 切れやすいそばのように、一年の苦労や厄を断ち切る |
| 金運を願う | 金箔を扱う職人が、散らばった金粉をそば粉で集めたという話から |
| 体を整える | そばは体によいとされ、一年の疲れを取ると考えた |
| 丈夫に育つ | そばは天候が悪くても育つ丈夫な作物であることから |
「縁起を担ぐ食べもの」としてのそば
江戸の町ではそば屋が多く、そばは身近な食べものでした。手軽に食べられ、長く細い形が縁起のよい意味と結びつけやすかったことも、年越しの食べものとして定着した理由の一つと考えられます。
年越しそばは、大晦日のうちに食べ終えるのがよいとされ、年をまたいで食べ残すと、翌年に金運がないなどの言い伝えがある地域もあります。ただし、こうした言い伝えも地域によって違い、元日になってからそばを食べる地域もあると言われます。
年越しそばの食べ方
年越しそばの食べ方に決まりはありません。温かいかけそばにする家も、ざるそばにする家もあります。具にえびの天ぷらをのせる家も多く、腰の曲がったえびの姿から長寿を願うとする説明もあります。
京都では、甘辛く煮た身欠きにしんをのせた「にしんそば」を年越しに食べる家もあると言われます。ねぎを「労う(ねぎらう)」にかけて、一年の苦労をねぎらう意味を込めるという話もあります。どれも縁起をかつぐ言葉遊びのようなものですが、家族で具を選ぶときの話題にもなります。
地域で違う年越しの食卓
大晦日の夜の食卓は、地域によって大きく違います。年越しそばが全国に広まる一方で、そのほかにも大晦日に特別な料理を食べる習慣が、各地に残っています。
年取り膳と年取り魚
東日本の一部や北日本、長野県などでは、大晦日の夜に「年取り膳」と呼ばれるごちそうを家族で囲む習慣があります。正月のおせち料理を大晦日の夜から食べ始める家もあり、元日の朝ではなく、大晦日の夜が一年でいちばん豪華な食卓になるという地域もあります。
このとき食べる魚を「年取り魚」と呼び、大きく分けると、東日本では鮭、西日本ではぶりが多いと言われます。鮭は川をさかのぼって戻ってくることから、ぶりは成長とともに名前が変わる出世魚であることから、縁起のよい魚とされてきました。もっとも、境目ははっきりしているわけではなく、同じ地域でも家によって違います。
年越しうどんやほかの麺
そばの代わりに、うどんで年を越す地域や家もあります。うどんどころとして知られる香川県では、「年越しうどん」を食べる人も多いと言われ、太く長いうどんに、長寿や運を太く長く、という願いを重ねる説明がされます。
そばアレルギーのある人がいる家庭では、うどんや別の料理で年を越すのが安全です。年越しの食べものは、家族の健康を願う気持ちが形になったものなので、体に合わないものを無理に食べる必要はありません。
世界の年越しの食べもの
日本以外にも、年越しに特別な食べものを口にする国や地域はたくさんあります。スペインの12粒のぶどうや、中国の春節の餃子などがよく知られています。世界の年越しの習慣については世界の年越しと新年の習慣で詳しく紹介しています。日本の年越しそばと並べてみると、どの国でも「長い」「たくさん」「丸い」など、縁起のよい形や数に願いを込めていることが分かります。

家で年越しそばを用意する段取り
大晦日の夕方は、正月の準備やおせちの仕上げで台所が忙しくなりがちです。年越しそばは手早く作れる料理ですが、段取りを決めておくと慌てずにすみます。
乾麺か生麺かを選ぶ
家で作るそばは、乾麺、生麺、ゆで麺などから選べます。乾麺は日持ちがよく、早めに買っておけるのが利点です。生麺は香りや食感がよい反面、日持ちが短いので、大晦日の直前に用意する必要があります。ゆで麺は温めるだけで食べられ、忙しい日にはいちばん手軽です。
| 種類 | 良いところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 乾麺 | 早めに買って保存できる | ゆで時間を守り、たっぷりの湯でゆでる |
| 生麺 | 香りや食感がよい | 日持ちが短く、直前に用意する |
| ゆで麺 | 温めるだけで手軽 | 温めすぎると柔らかくなりやすい |
そばをゆでる手順
乾麺や生麺をゆでるときは、たっぷりの湯を使うのが基本です。湯が少ないと、麺を入れたときに温度が下がり、ゆで上がりがべたつきやすくなります。

ゆで上がったそばは、ざるに上げて冷水の中でもみ洗いし、表面のぬめりを落とします。こうすると麺が締まり、口当たりがよくなります。温かいかけそばにする場合も、一度冷水で締めてから、熱湯にさっとくぐらせて温め直すと、のびにくくなります。
つゆと具の準備
つゆは、市販のめんつゆを使えば手軽に用意できます。だしから取る場合は、昆布とかつお節でだしを取り、しょうゆとみりんで味を調えます。だしの取り方は、おでんの煮方でも紹介しています。具は、ねぎ、かまぼこ、天ぷら、油揚げなど、家にあるもので十分です。
天ぷらを家で揚げるのが大変なら、総菜の天ぷらを使ってもかまいません。総菜の天ぷらは、トースターで軽く温めると衣のべたつきが少し戻ります。
食べる時刻と量の考え方
年越しそばを食べる時刻に決まりはありません。夕食として家族で食べる家もあれば、夜遅く、除夜の鐘が鳴り始めるころに軽く食べる家もあります。夕食をしっかり食べたあとに年越しそばを食べるなら、少なめの量にしておくと、胃に負担がかかりにくいでしょう。
小さな子どもがいる家庭では、夜遅くまで起きているのが難しいこともあります。夕食に年越しそばを食べて、早めに休むのも一つの過ごし方です。年越しの過ごし方は、家族の生活に合わせて形を変えてよいものです。
アレルギーに気をつける
そばは、食物アレルギーの原因になることがある食べものの一つで、症状が重くなる場合もあります。家族や来客にそばアレルギーの人がいる場合は、そばと同じ鍋やゆで湯でうどんをゆでない、同じ箸や器を使わないなど、混ざらないように注意が必要です。
また、外で年越しそばを食べる場合や、お寺のふるまいでそばを受け取る場合も、アレルギーのある人は無理をしないようにしましょう。症状が出たときの対応や、食べてよい範囲については、かかりつけの医師に相談しておくと安心です。
まとめ
除夜の鐘は、古い年の煩悩を払い、清らかな心で新年を迎えるための祈りの鐘です。108という数には煩悩の数、暦の数、四苦八苦などの説があり、どの説にも、一年の重荷を下ろして新しい年を迎えたいという願いが込められています。年越しそばも、細く長く生きることや、一年の厄を断ち切ることを願う食べものとして、江戸時代から親しまれてきました。
今年の大晦日は、まず近くのお寺が除夜の鐘をどのような形で行っているかを調べるところから始めてみてください。参拝者が撞けるか、何時ごろに撞くのか、整理券があるのかを確かめておけば、当日の段取りが立てやすくなります。出かけない場合も、年越しそばをゆでながら、遠くの鐘の音やテレビの中継に耳を傾けて、一年を振り返る時間を作ってみてください。
よくある質問
除夜の鐘はなぜ108回撞くのですか?
人の心を乱す煩悩の数が108あるという考え方から説明されることが多いです。ほかにも、12か月と二十四節気、七十二候を足した数とする説や、四苦八苦にかけた語呂合わせとする説があり、一つに決まっているわけではありません。
除夜の鐘は誰でも撞けますか?
一般の参拝者が撞けるお寺もあれば、僧侶だけが撞くお寺もあります。撞ける場合も、整理券の配布や事前の申し込み、人数の制限があることが多いので、行く前にそのお寺の案内を確かめておくと安心です。
年越しそばはいつ食べるのが正しいのですか?
大晦日のうちに食べるのが一般的で、年をまたいで食べ残すと縁起がよくないという言い伝えもあります。ただし、夕食に食べる家も、夜遅くに食べる家もあり、決まった時刻があるわけではありません。
年越しそばの代わりにうどんを食べてもよいのでしょうか?
地域によっては年越しうどんを食べる習慣もあり、家ごとの過ごし方に合わせてかまいません。そばアレルギーのある人がいる家では、無理にそばにこだわらず、うどんなどで年越しを祝うのが安全です。
107回を年内に撞くというのは本当ですか?
107回を旧年のうちに撞き、最後の1回を新年になってから撞くとするお寺があると言われます。一方で、年をまたいで撞き続けるお寺や、時刻にこだわらないお寺もあり、撞き方はお寺ごとに違います。










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