餅つきの由来と手順|28日につく理由、臼と杵の準備、もち米の蒸し方と返しのコツ
もち米の準備|量と浸水の目安
もち米の量は、升で数えることが多くあります。1升は体積の単位で、もち米ならおよそ1.4〜1.5kgです。1升の米からできる餅はおよそ2kgで、1個50gの小餅なら40個ほどが目安です。家庭や小さな集まりなら、まず1升から2升で考えると、失敗があっても扱いやすい量です。
作業は前の日から始まります。
- もち米を洗う。力を入れて研ぐ必要はなく、水が澄むまで数回、手早く水を替えます。乾いた米は最初の水をよく吸うので、1回目の水はすぐ捨てます。
- たっぷりの水に6〜12時間浸す。冬の水温が低い時期は長めにします。前の晩に浸けておくのが分かりやすい段取りです。
- 蒸す30分から1時間ほど前に、ざるに上げて水を切る。水気が残っていると、べたついて蒸気が通りにくくなります。
浸水が足りないと芯が残ります。逆に長く浸けすぎても、暖かい場所では水が傷みやすいので、室温が高いときは冷たい場所に置き、水を替えます。
うるち米が混ざると餅の粘りが弱くなるので、計量のときに別の米と取り違えないように気をつけます。もち米は白くて不透明な粒、うるち米は透明感のある粒という見分けができます。
もち米を蒸す
蒸す工程は、餅の出来の半分を決めるとよくいわれます。つきは人の力でなんとかなりますが、芯の残った米は、いくらついても粒が残るからです。

蒸し方の流れ
- 大鍋に湯を沸かし、十分な蒸気を出す。
- ぬらして固くしぼった蒸し布を蒸籠に敷き、もち米を入れる。
- 指で数か所に穴を開けて、蒸気の通り道を作る。
- 布の端を折りたたんで、ふたをする。
- 強火で蒸す。1升ならおよそ40分前後が一つの目安。
- 途中で湯の量を確かめ、減っていれば熱い湯を足す。
蒸し時間は蒸し器の大きさと火力で変わるので、時間だけで判断せず、米を確かめます。蒸し上がりの目安は、米粒を指でつまんで、芯がなくつぶれ、指に粘りが残る状態です。透明感が出て、少しふっくらしています。まだなら数分おいて、もう一度確かめます。
途中で湯が切れると、蒸気が止まり、火も危険です。足し湯は水ではなく湯を使います。水を足すと温度が落ち、蒸しむらが出るからです。
蒸籠を何段か重ねるときは、下の段から順に蒸し上がります。上と下を入れ替えるか、1段蒸し上がるごとに下に足していく方法があります。ふたや蒸籠を開けるときは、蒸気で手や顔をやけどしないよう、顔を離して手前から開けます。

こねてからつく|つき手と返し手の動き
蒸し上がった米を臼に移したら、すぐに杵を振り上げたくなります。しかし最初の作業は、振り下ろさずに押しつぶす「こね」です。
こね
米が熱いうちに、杵の頭で体重をかけて米を押しつぶします。臼のまわりを少しずつ歩きながら、ぐるぐると円を描くように押していきます。このとき返し手は基本的に手を出しません。米がばらばらのままつくと、杵の勢いで粒が飛び、粒も残りやすくなります。
こねの目安は、白い米粒がひとかたまりにまとまり、粒が半分ほどつぶれた状態です。人によりますが、数分から10分ほどかかります。ここで手を抜かないと、つきが楽になります。
つき
かたまりになったら、つき始めます。つき手は、次のことを意識します。
- 臼の中心をまっすぐねらえる位置に立つ。
- 足を肩幅より少し広く開き、腰を落とす。
- 杵の重さを使い、腕の力で振り下ろさない。
- 杵の頭が餅に平らに当たるようにし、臼のふちに当てない。
高く振り上げる必要はありません。力まかせに打つと、杵がぶれて危険です。杵の重みを落とすくらいの感覚で、一定の速さを保ちます。
返し
返し手は、杵が上がった合間に、手水(てみず)で湿らせた手で餅を折り返します。餅の外側を中央へ折り込むことで、まだつかれていない部分が中に入り、全体が均一になります。
| 役割 | すること | 気をつけること |
|---|---|---|
| つき手 | 杵を一定の速さで下ろす | 返し手の手を見て、合図を聞く |
| 返し手 | 杵の合間に餅を折り返す | 手を入れるのは杵が上がってから |
| 周囲 | 米の運搬、手水の交換、火の番 | 臼のまわりに子どもを近づけない |
杵と手が同じ場所を動くので、ここが一番危険な部分です。始める前に、つき手と返し手で声かけを決めておきます。「はい」「よいしょ」などの合図の声に合わせて、手を入れるのは杵が高く上がっている間だけとします。慣れないうちは速度をうんと落とし、杵を一度止めてから手を入れるのが安全です。行事では、経験者が返し手を務め、参加者には返し手の入らない「つくだけ」の時間を用意すると、事故を避けられます。
手水は、つけすぎないように指先を湿らせる程度にします。水が多いと、餅が水っぽくなってのびが悪くなり、カビも生えやすくなります。少なすぎると、餅が手や臼に張りつきます。臼のふちに付いた餅は、早めに中へ戻します。
どこで止めるか
つき終わりの目安は、米粒の粒が見えなくなり、表面がなめらかで、耳たぶほどのやわらかさでのびがよくなった状態です。1臼あたり10〜15分ほどが一つの目安です。交代しながら、餅が冷めないうちに一気に仕上げます。冷めると急に固くなり、つくのが難しくなるからです。
つきたてを形にする|丸餅、のし餅、鏡餅
つき上がった餅は、もち取り粉(片栗粉やコーンスターチなど)を広げた台に移します。手に粉をつけ、熱いうちに手早く分けます。
丸餅
餅の一端を親指と人差し指の輪からしぼり出すようにしてちぎり、ひとつずつ手のひらで丸めます。ちぎった面を下にして台に置くと、形が整います。粉は多すぎると、食べるときに粉っぽくなるので、余分な粉は軽く払います。
のし餅
のし板やもろぶたに餅を広げ、手や麺棒で、厚さが均一になるようにのします。平らになったら表面に粉をふり、涼しい場所に置きます。切るのは翌日くらいが目安です。固くなりすぎると切りにくいので、包丁が入るくらいのときに切ります。切るときは、包丁を少し濡らすと離れやすくなります。
鏡餅
大小2つに分け、それぞれ丸く整えます。表面に張りが出るように、餅の端を下側へ集めて、なめらかな面を上にします。小さいほうの餅は、やや固めに作ると上に置いたときに形が崩れにくくなります。

つきたての食べ方
つきたては、そのまま味わえるのが手作りの餅のよいところです。きなこと砂糖、あんこ、大根おろしとしょうゆ、納豆などを用意しておくと、同じ餅でも味を替えて楽しめます。大根おろしを添えると、口の中がさっぱりします。辛味もちと呼ぶ土地もあります。
保存の考え方
すぐに食べない餅は、固まって切ってから、1回分ずつラップで包んで冷凍すると、取り出しやすくなります。つきたての水分の多い餅は、常温で長く置くとカビが生えやすい食べ物です。カビが生えた部分は、表面だけ削っても中まで菌糸が入っている場合があるので、食べないほうが安全です。









