餅つきの由来と手順|28日につく理由、臼と杵の準備、もち米の蒸し方と返しのコツ
地域の行事で気をつけたい衛生と安全
人が集まる餅つきでは、餅の出来より先に考えておくべきことがあります。自治体の保健所が繰り返し注意を呼びかけているのは、ノロウイルスなどの食中毒です。
なぜ餅つきは食中毒が起きやすいのか
蒸したもち米は十分に加熱されています。問題はそのあとです。手で返し、手でちぎり、手で丸めるので、多くの人の手が直接餅に触れます。さらに丸めた餅はそのまま、再加熱せずに食べることが少なくありません。ノロウイルスが流行しやすい冬の時期とも重なります。
手洗い用のアルコールだけでは、ノロウイルスへの効果は十分とはいえません。石けんと流水で手を洗い、ウイルスを洗い流すことを基本にします。
当日に守りたいこと
自治体の資料で共通して挙げられているのは、次のようなことです。
- 下痢や嘔吐の症状がある人、手に傷がある人は、餅に触れる作業に加わらない。家族に同じ症状の人がいる場合も避ける。
- 作業の前に、石けんで二度洗いをする。トイレのあとも同じようにする。
- 臼、杵、蒸し布は前もって洗い、熱湯をかける。
- 餅に触れる人を決めて、人数を絞る。
- 使い捨て手袋をする場合は、はめる前に手を洗い、一度外したものは使い回さない。
- 返し水は一臼ごとに替える。
- つきたてはなるべくその場で食べ、持ち帰らない。
子どもが楽しみにしている行事では、「一度みんなで杵を持って、つく体験をする」ことと「餅に触れる」ことを分けるのが一つの方法です。つき手は交代しても、丸める人を決めておくと、触れる人の人数を抑えられます。また、餅を焼いたり、湯に入れて雑煮や汁にしたりして、加熱して出す方法もあります。
地域の行事として調理した食べ物を人に出す場合には、届け出や相談の窓口が設けられていることがあります。扱いは地域によって違うので、計画の段階で管轄の保健所の案内を確かめてください。
窒息とけが
餅は小さな子どもや高齢の人にとって、窒息の危険が高い食品です。一口の大きさに小さく切って、水分をとりながら少しずつ食べてもらい、周りの人がそばで見守ります。小さな子どもには、つきたての餅を無理に食べさせないのが安全です。
けがの面では、杵が手に当たる事故のほか、熱い蒸気でのやけど、湯の持ち運びでのやけどが起こりやすいものです。杵を持つ人のまわりに距離を取る、湯の鍋は蓋をして二人で運ぶ、といった基本の動きを最初に共有しておきます。

臼と杵がなくても|家で作る方法
臼と杵を用意できなくても、家で餅を作る方法があります。
| 方法 | 量の目安 | 向いている場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 臼と杵 | 1臼に1〜2升 | 人が集まる行事 | 人手、火、衛生の準備が必要 |
| 家庭用の餅つき機 | 機種による | 毎年、家で作る | 水の量は説明書どおりにする |
| 炊飯器とすりこ木 | 1〜2合ほど | 少しだけ試す | 粒が残りやすく、力がいる |
家庭用の餅つき機
蒸す工程からつく工程までを1台で行う機械です。もち米を浸水させ、水切りをして、内釜に入れてスイッチを押します。1升クラスなら、蒸しが30〜40分ほど、つきが10分前後というのが一般的な目安です。機種によって水加減と手順が異なるので、説明書に従ってください。最近は、浸水時間を短くできる機能が付いたものもあります。
炊飯器とすりこ木
少量を試すだけなら、もち米を炊飯器で炊いて作れます。
- もち米2合を洗い、1時間ほど浸水させる。
- 水を普通のご飯より少なめにして炊く。
- 炊けたら熱いうちに深いボウルに移す。
- 水でぬらしたすりこ木で、米を押しつぶすように全体をつく。
- なめらかになるまで続け、少しずつ丸める。
臼と杵の餅ほど粒はなくなりませんが、きなこやあんをまぶして食べるには十分です。熱いうちに作業するのが肝心で、冷めると力が要るようになります。
機械でも手でも、もち米の量は道具の上限を超えないようにします。餅つき機に入れすぎると、羽根が回らず、つきむらや故障の原因になります。
仕上がりから次回を見直す
うまくいかなかったときは、工程のどこに原因があるかを次のように考えます。
- 粒が残る:浸水か蒸しが足りない、こねが短い
- 固くて伸びない:つく間に冷めた、手水が少ない
- べたついて水っぽい:水切りが足りない、手水が多い
- 焦げたようなにおいがする:鍋の湯が切れかけた
一度に全部を直そうとせず、次回は一つだけ条件を変えると、原因が分かりやすくなります。
まとめ
餅つきは、年神様を迎える準備の締めくくりとして続いてきた行事です。28日がよい、29日と31日は避けるといった言い伝えは、語呂や準備の心がけから来ていますが、土地ごとに幅があります。家に習慣があれば、それに従うのが一番です。
作業の要点は、もち米を6時間以上浸して芯まで蒸し、すぐにつかずに「こね」を入れ、杵と手が交わる返しは合図を決めて進めることです。人が集まる行事なら、手洗い、器具の熱湯消毒、餅に触れる人の限定を、餅の出来より先に準備します。
はじめの一歩として、近所の行事や親戚の家の餅つきの日取りを聞いてみてください。「何日につくのか」を尋ねるだけで、その土地の習わしが見えてきます。年明けに食べる餅は、お雑煮の地域差で見たように、形も味も土地で変わるものです。
よくある質問
餅つきはいつするのがよいですか?
12月28日がよいとよくいわれます。8が末広がりに通じるためです。29日は「苦」を連想させ、31日は「一夜餅」になるとして避ける土地が多くありますが、30日につく土地や、29日を「福」と読んでつく土地もあるので、地域や家の習慣を優先してかまいません。
もち米は何時間水に浸けますか?
6〜12時間が目安で、前の晩から浸けておくのが一般的です。水温が低い時期は長めにします。蒸す前にざるに上げて、30分から1時間ほど水を切っておきます。
すぐにつき始めず、こねるのはなぜですか?
蒸した米粒が残ったまま杵を振り下ろすと、米が飛び散るうえに、粒が残りやすくなるからです。先に杵の重みで押しつぶして、ひとかたまりにしておくと、そのあとのつきが安定します。
地域の行事で餅つきをするときに気をつけることは何ですか?
つきたての餅は加熱せずに食べることが多く、ノロウイルスなどの食中毒に注意が必要です。手洗い、器具の洗浄と熱湯消毒、返し水の交換、体調の悪い人が餅に触らないことを徹底します。行事で餅を配る場合の扱いは地域の保健所の案内を確認してください。
臼と杵がなくても餅は作れますか?
家庭用の餅つき機があれば、蒸す工程からつく工程まで機械に任せられます。少量なら、もち米を炊いてボウルに移し、すりこ木でつぶす方法でも作れます。どちらも粒が残りやすいところは、水加減と時間の長さで調整します。











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