七草がゆと人日の節句|春の七草の名前と見分け、由来、七草たたき、作り方まで
よくある失敗と直し方
七草がゆは手順が少ない料理ですが、いくつかつまずきやすい点があります。
葉の色が茶色くなる
葉を早く入れすぎると、煮ているうちに色が悪くなります。葉は下ゆでしてから、必ず最後に加えるようにします。すぐに食べない分は、かゆと葉を分けておき、食べる直前に合わせると色がきれいに保てます。
吹きこぼれる
米から炊くときは、沸騰したあとに火が強いままだと、とろみのある泡があふれやすくなります。沸騰したらすぐに弱火にし、ふたは少しずらしてのせます。鍋は、水と米を合わせた量の倍くらいの深さがあるものを選ぶと安心です。
鍋底が焦げつく
かゆは水分が多いようで、米のでんぷんが鍋底にたまりやすく、焦げつくことがあります。厚手の鍋を使い、火を弱めることが基本です。混ぜすぎは粘りの原因になりますが、まったく混ぜないと底に張りつくこともあるので、途中で一度、鍋底からそっとはがすように混ぜると防げます。
味が物足りない
七草がゆは、塩だけの素朴な味つけが基本です。物足りないときは、塩を少し足すよりも、食べるときに好みで梅干しや昆布の佃煮を添えると、全体の味がまとまります。だしで炊く家庭や、仕上げに少量のしょうゆを落とす家庭もあり、決まった正解はありません。
苦味やえぐみが気になる
七草の中には、ほのかな苦味のあるものがあります。下ゆでの時間が短すぎると、えぐみが残ることがあります。苦味が苦手な家族がいる場合は、ゆでたあと少し長めに水にさらしてからしぼると、やわらかい味になります。
七草がそろわないときの代わり
七草セットが手に入らない年や、そもそも七草を買う習慣がない地域もあります。七草がゆは、七種類そろえることにこだわらなくても楽しめます。
身近な青菜で代用する
七草の代わりとしてよく使われるのは、次のような野菜です。
- かぶと大根の葉(すずな・すずしろそのもの)
- 小松菜やほうれん草
- 三つ葉や春菊
- 水菜や青ねぎ
七種類にこだわるなら、手元にある青菜を組み合わせて数をそろえるのもひとつの考え方です。ただし、ほうれん草はアクが強いので、必ず下ゆでしてから使います。
地域ごとの七日の食べ物
雪深い地域など、正月の時期に七草が手に入りにくい土地では、昔から七草の代わりに、根菜や干した野菜、豆などを使って七日の粥や汁物を作る習わしがありました。七日に食べるものは地域によって違い、七草がゆという形にこだわらない土地も少なくありません。家族の出身地にどのような習わしがあるかを、年配の人に聞いてみるのもおもしろいものです。
余った七草の使い方
七草セットは少量ずつとはいえ、かゆ一回分には多いこともあります。余った分は、次のように使えます。
- 下ゆでして刻み、おひたしやあえ物にする
- 味噌汁やすまし汁の具にする
- 刻んで炒め、ご飯に混ぜて菜飯にする
- 卵焼きに混ぜる
ゆでたあとは傷みやすいので、その日か翌日のうちに使い切るようにします。すぐに使えないときは、ゆでて水気をよくしぼり、小分けにしてラップで包み、冷凍しておく方法もあります。凍ったまま汁物に入れれば、そのまま使えます。
家族の食事に合わせる
小さな子どもや、かむ力・飲み込む力が弱くなった家族がいる場合は、葉をいつもより細かく刻み、米もやわらかめに炊くと食べやすくなります。食事の制限がある家族がいる場合は、医師などから受けている指示を優先し、塩の量や具材を調整します。行事食だからと無理に食べさせる必要はありません。
七草がゆと松の内
七草がゆは、お正月の行事の締めくくりのひとつとも考えられています。その関係を知っておくと、正月飾りを片付ける時期の見当もつきやすくなります。
松の内とは
「松の内」は、門松などの正月飾りを飾っておく期間のことです。年神様が家にとどまっている期間とも考えられています。松の内がいつまでかは地域によって違い、関東を中心に1月7日まで、関西を中心に1月15日までとすることが多いといわれます。ただし、同じ地方の中でも家や地域ごとに差があります。
7日を区切りにする地域では
松の内を7日までとする地域では、七草がゆを食べる日が、正月の終わりと日常の始まりを告げる節目になります。7日の朝に七草がゆを食べ、そのあとに門松やしめ飾りを片付ける、という流れが自然です。
15日の小正月との関係
松の内を15日までとする地域では、1月15日の「小正月」に小豆がゆを食べる習わしが残っているところもあります。平安時代の宮中で七種の穀物の粥を食べていたのも15日でした。7日の七草がゆと15日の小豆がゆは、どちらも粥で一年の無事を願うという点で、根が近い行事といえます。

家庭で楽しむ工夫
七草がゆを、行事として家族で楽しむ工夫もあります。
- 七草セットを広げて、歌に合わせて一つずつ名前を確かめる
- 「ほとけのざ」の話をして、道ばたの紫の花と比べてみる(摘まずに見るだけにする)
- 七草たたきの唱え言葉を、家族で小さく唱えながら刻む
- 秋の七草と並べて、食べる七草と見る七草の違いを話す
子どもにとっては、草の名前を覚えるよい機会になります。大人にとっても、正月の慌ただしさが落ち着いて、日常へ戻る区切りとして気持ちを整える時間になります。
まとめ
七草がゆは、中国の人日の習わし、日本の若菜摘み、宮中の七種の穀物の粥という、いくつもの習わしが重なってできた行事食です。春の七草の名前は古い呼び方なので、今の名前と結びつけて覚えると、七草セットの中身が分かるようになります。「ほとけのざ」が紫の花のホトケノザとは別物であることや、野で摘まずに市販品を使うことも、知っておきたい大切な点です。
作り方は、葉を下ゆでして最後に加えることさえ守れば、米からでもご飯からでも難しくありません。まずは今度の1月6日に七草セットを一つ買い、歌に合わせて七つの名前を確かめながら葉を刻んでみてください。翌朝にかゆへ入れれば、それだけで人日の節句の行事を一通り体験できます。
よくある質問
七草がゆはいつ食べるものですか?
1月7日の朝に食べるのが昔からの習わしです。前の晩に七草を刻んでおき、7日の朝にかゆに入れるという流れが伝えられてきました。朝が難しければ、7日のうちの食べやすい時間に用意しても差し支えありません。
人日の節句とはどういう意味ですか?
古い中国で、正月の1日から順に動物を当てはめて占い、7日を「人の日」とした習わしに由来します。日本では江戸時代に五節句のひとつとして定められ、七草がゆを食べる日として広まりました。五節句の中では、最も地味ですが一年の最初の節句です。
春の七草の「ほとけのざ」は、道ばたで見る紫の花のホトケノザですか?
違います。七草の「ほとけのざ」は、今の名前でコオニタビラコという黄色い花の植物を指します。道ばたでよく見る紫の花のホトケノザは別の種類で、七草には入りません。市販の七草セットを使えば取り違えの心配はありません。
七草は野原で摘んでもよいですか?
おすすめしません。せりに似た毒草があるなど、見た目で確実に見分けるのは難しく、取り違えると重い中毒につながることがあります。食用として売られている七草セットや、かぶ・大根など店で買える野菜を使うのが安全です。
七草がそろわないときはどうすればよいですか?
かぶと大根の葉、小松菜や三つ葉、春菊など、手に入る青菜で代用して構いません。地域によっては、もともと七草がそろわないため、別の食材で七日の粥や汁物を作る習わしもあります。形よりも、正月の食事から日常の食事へ戻る節目として楽しむことが大切です。










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